DATE:2012/06/05(Tue) 13:01 No.960

「垣根涼介 / ワイルド・ソウル(下)」
下巻の方がすごいスピード感だった。上巻で広げられた伏線が一気に収束していく快感。
寝る間も惜しんで本を読んだ、そんなのってば久しぶりだった。上巻の感想はこちら
戦後最大の愚政、棄民政策。その40年後生き残った二世のケイと松尾。そして山本の3人は日本の地に降り立ち、日本政府に向けて企てられた復讐を結構する。それにはブラジルの地で土に還っていった同志への思いと、今日本に居るブラジル人への思いも詰まった「ひとりも殺さない復讐」だった。しかし緻密に計画された復讐計画も、少しずつ狂っていく
これだけ聞くとガチガチの心理ゲームみたいに感じられちゃうかも。
だけど、それぞれのキャラクターがすごく重さと軽さを持っていて、重々しく感じない。
中心人物のケイと、元局アナで報道ディレクターの貴子とのやりとりは、少しエロいけど恋愛小説に近い。
ラストに向けて緊張感が最高潮になるも、終わり方もどこかのほほんとしてて。なんかいい読後感だった。
ブラジル移民問題は上巻ほど細かく説明はされてない。だから気持ち良かったのかもな。
上巻で溜まったフラストレーション(伏線)が下巻でどんどんスッキリしていく。
広げた風呂敷はさいご完全にまとまった。本当に完全に。気持ちいい
900P越えの長編小説だけど、まったく気にならない小説でした。
すごく良い印象だったので、この人の小説をもう少し掘ってみよう。
取り急ぎ今は、もうちょっとホッコリした小説読みたいけど。

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