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人非人と呼ばれて
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「垣根涼介 / ワイルド・ソウル(上)」

ちょっと不定期めいてしまいましたが、多分もう大丈夫だと思う。

1961年、戦後の外務省の政策でアマゾンに渡った移民。4万人とも言われる全員が夢の土地ブラジルを思い描きその大地に降り立った。しかし楽園はどこにもなかった。農業には向かない強い酸性の不毛の大地、石灰をまきアルカリ性に変えるが雨期にはすべてを流される。マラリアやアメーバ赤痢に人びとはバタバタと倒れ死んでいく。外務省に文句を言いたくても、領事館まで行く方法も金もない。もし行けたとしても取り合ってももらえない。ブラジル政府にパスポートを剥奪され国を出ることも許されない。そしてみな乞食や街娼にまで落ち込み、遠いブラジルの地で土へと還っていった。。戦後最大の愚政、棄民政策。その40年後、生き残った二世のケイと松尾。そして山本の3人は日本の地に降り立ち、歴史の闇に葬られた過去の扉をこじ開けようとする。

上巻だけで480P。なんだけど、すげえスピード感だった。文字すごく多いのに止まらない、久しぶりだこうゆうの。
前半はアマゾンで苦しむ日本人の描写。そしてそこから抜け出し、ブラジルでこれでもかという不幸を味わいながら
なんとか立ち上がった人間の描写。それに付け加え、歴史背景と、ケイと松尾と、山本の育ってきた環境の説明。
そして「これからなにかが始まる」ということを匂わせながらも、まったくそれがなにか分からない。もったいぶり小説だ。

もう下巻に入ってるんだけど、上巻よりもすごいスピード感です。この小説単純におもしろい。それはまた。
しかし僕は詳しくなかったけど、ブラジル移民やドミニカ移民ってすごい問題が残ってるのね。
そもそもその政策自体が理不尽で、ブラジル政府との癒着があったみたい。
勉強してみようと思ってwikipediaも見てみたけど「良いこと」しか書いてなかった。。

本当にそんな言葉があったかどうかは知らないけど、外務省領事移住部の役人のコメント
「どんな世界にも、成功した人と失敗した人間がいるでしょう。失敗した人の側面ばかりを取り上げて、それで国の責任云々と言われるのも、どうかとおもいますがねえ」
感情移入しすぎて、読んでるぼくまではらわたが煮えくり返った。

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The End_516 伊勢佐木長者町 / Nikon F3 「tumblr」「THE END」「Trinograph.」「Facebook」「Flickr」
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