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「国境の南、太陽の西 / 村上春樹」

思い起こせば今年は村上春樹ばっかり読み直してて、あまり他の小説を読んでない。
自分が着々と暗くなってきてるのは自覚してるんだ。
世界が近いような、はたまた世界のはじっこにいるような。そんな錯覚が多い。
夜とか、すごくこわい。だから早く寝ちゃうようにしてる。

ネタバレになってしまうかもですが、たまにはレビューみたいなものを。
だけど村上春樹の小説にネタもバレもない。ってのは読んだことがある人なら分かるはず。

主人公と島本さんという女の子は小学校の同級生で、お互い一人っ子という共通点のうえ一緒に過ごす仲。いつも一緒にナット・キング・コールが歌う「国境の南」を毎日聴いていた(どんな小学生じゃ)国境の南=メキシコ(自由)なんだけど小学生の頃の主人公は、国境の南にあるものに思いを馳せる。それは「何かとても綺麗で、大きくて、柔らかいもの」と表現してた。

小学校を卒業し、なにかの理由で(それを思春期というのかも知れないけど)離ればなれになった二人。しかし30年後に再会し激しい恋に落ちた二人は、導かれるようにその失くしてしまった「何かとても綺麗で、大きくて、柔らかいもの」を取り戻すために一夜を過ごす。。。

う~ん、おもしろそうだ。そしておもしろかった。
読後になにか心えぐられて持ってかれた感はすごかった。もうぐったり。朝日がみたくなった。

それはそれで、いろいろ調べてみてさ。気になることがみつかった。
「ナット・キング・コールは国境の南を歌っているけどレコーディングしていない」
という事実。でも物語内でそのレコードは重要な役割を担っている。
ジャズマニアな村上春樹がそんな間違いするのかな。

あえて存在しないレコードを登場させたのではないか。説
それを踏まえると島本さんという存在は実際には存在しない
少なくとも大人になった島本さんについては幻だったのではないか。説

生まれてすぐに死んでしまった、島本さんの赤ちゃんの遺灰を川に流した時
「灰が海まで流れたあと水に混じって蒸発し、それが雨になって地上に降るかしら?」と聞く。
そして島本さんが主人公の目の前に現れる時、ほとんど雨が降っている。
島本さん自身はすでに灰になり海に流されてしまってて、雨と一緒に主人公の所にやってくる。

そして「何かとても綺麗で、大きくて、柔らかいもの」を取り戻すために一夜を過ごした後
島本さんは忽然と消える。ナット・キング・コールのレコードと一緒に。煙のように。
「あなたが言うようにあなたと二人きりでどこかに行って、新しい人生をやり直すことができたら
どんなに素敵だろうと思うわ。でも残念だけれど、私にはこの場所から抜け出すことは出来ないの
それは物理的に不可能なのよ」

前の夜にこんな言葉を残して、煙のように消えるのだ。
すごい小説だった。

そしてぼくはもっと森のおくへ進む

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The End_377 初台 / Pentax 645

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