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たっぷりと水を飲みなさい
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「アマデウス」

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの一生を描いた映画。ディレクターズカット版は3時間の大作になっています。
実は僕は柄にもなくクラシックを聴く人なのです。もちろん全然詳しくないし、メジャーなものしか聴かないんだけど、好きなのです。
ただモーツァルトよりベートーヴェンの方が分かりやすくて好きだし、カラヤンよりは、ベルリンフィルハーモニーの建物の方に興味がいってしまう。
にわかなクラシックファンです。でも好きなんです。

「許してくれモーツァルト、おまえを殺したのは私だ」精神病院に運ばれた老人は浮わ言をいいながら自殺を図った。自殺は未遂に終わり体調が戻った老人をある神父が訪ねた。そしてその老人は意外な告白をはじめた。老人の名はアントニオ・サリエリ。かつてオーストリア皇帝ヨゼフ二世に仕えた宮廷音楽家だった。信仰深く、神が与えた音楽の才に深く感謝し、音楽を通じて神の下僕を任じていた。だが、天才として名がヨーロッパ中に広まっていたウォルフガング・アマデウス・モーツァルトが彼の前に現れたことににより、サリエリの人生は大きく進路を変えていく。

この映画は、自己表現をしている人。アーティスト、デザイナー、作家、なんでもいいけどそうゆう人にみて欲しい映画だと思う。
それはもしかしたらベタなあれかもしれないけれど、表現者の苦悩がとても詰まっている物語だった。

まずモーツァルト自身。天才的な才能に溢れ、それを自覚し余計なことを考えずナチュラルに表現をしている。
それは誰もが認め絶賛するが、それでもお金に恵まれず苦しい生活を送り、あげく酒に溺れ己を壊してしまう。
でもお金が貰える状況でも魂は売らないという意思があって(意地にも見えたけど)それを貫ぬく姿勢は格好よかった。
でも家に帰れば妻にお金はどうするの?生活はどうするの?とせびられている。そうゆう意味でベタ。

物語を語るサリエリという人物。アントニオ・サリエリという実在した人物で、この物語はサリエリの自責の念が作り出した物語。
サリエリは宮廷音楽家という立場にいるが、皇帝がモーツァルトに入れ込むのを嫉妬して、邪魔や嫌がらせをする。
だけど同時にモーツァルトの才能に惚れ込んでもいる。絶望を感じながらドキドキしているのだ。
その入り交じる気持ちがとても人間らしく、やってることは酷いのにどこか否定しきれない僕がいた。

モーツァルトのオリジナルの譜面にはどこにも書き直しがなかったらしい。
譜面を書く前に曲が頭の中で完成しているから。だからどのページもすべて書き写したように整っていたらしい。
そしてできた音楽は見事なまでに完成されていて、サリエリ自身もこれをみて天才と認めるしかなかった。
その後サリエリは、モーツァルト作のオペラをみて「神がこの小男を通じて、天上から世界に歌いかけていた」と表現していた。

映画の話とずれてしまいますが、これは最近僕が考えている(悩んでいる、または苦しんでいる)ことに繋がります。
僕はこの間、この2年間くらいに撮った写真をまとめてウェブサイトの更新をしました。膨大な量の写真から選び、編集し、レイアウトする作業は
エネルギーと、時間を要するものだった。でも出来上がった時には達成感で包まれて、、と思っていた。でもそうじゃなかった。
僕はできたサイトをみて、心の底から「つまらん写真」と思ったのだ。同時にそれは前から気付いていたのに気付かないふりをしていただけ。

僕の写真には中身がない。容れ物はそれっぽくして、その容れ物になんとなく合っているような物(写真)をなんとなく選んでいるだけ。
そのことに気付き、、いや、正確には気付いていたのにそのまま形にした自分への嫌悪感に包まれて、僕は今まったく写真を撮っていません。
入り口から間違っていたという事。そして「じゃあこうすれば良い」というアイディア、イメージ、エネルギーがまったく湧かないという事。
もしかしたらその湧き出てくるなにかを作家性と呼ぶのかもしれません。僕にはそれがない。絶望感しかない。

今は村上春樹の言葉がとても胸に響きます。
「まず形式があるのではなく、まず中身があります。なにより大事なのは、その中身作りに全力を傾注することであり、妥協をしないことです。」

ところで、映画に出てくるモーツァルトの奥さんが、革命的にかわいい。実際はこんなに若くあどけなさが残る女性ではなかったみたいだけど。
むしろお金にうるさかった(これは映画のなかでもそうでした)とモーツァルトの死後再婚したことで不貞のレッテルも貼られている。でもかわいかった。
時代設定上、社交界のみなさまは皆カツラをかぶっています。それは嫁もそうなんだけど、家に帰ると全て取り払いワンピース一枚とかになる。
そのニュートラル感がたまらなくかわいかった。結婚したい。

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The End_1621 渋谷 / PENTAX67

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