DATE:2016/03/31(Thu) 09:00 No.1938

「わたしに会うまでの1600キロ」
タイトルだけだったら絶対にみない映画。OLさんが崇拝する系の映画のタイトルっぽい。
ちょっと自分探し感もあるもんな。。でもみた、なぜか。
監督が「ダラス・バイヤーズ・クラブ」の人だったことと、デヴィッド・リンチ作品でお馴染みのローラ・ダーンが出てたこと。
そしてパシフィック・クレスト・トレイル(アメリカのロングトレイル)の話だったという事。結果、まあ面白かったです。
過去にトラウマを抱えていたシェリル。特に最愛の母の死は受け入れられず薬とセックスに溺れる日々。そして崩壊する結婚生活。しかしシェリルはあることをきっかけに、自分自身を取り戻そうとパシフィック・クレスト・トレイルの1600kmロングハイクに挑むことにした。
僕も素人とは言え、山の中を歩くのが好きな人間としては、みてて共感する部分がありました。
もう行くっかない!という勢いが必要なこととか、不安と達成感が交互にやってくることとか、心地の良い孤独感とか。
そして独り言や、自分脳内会議は捗り、意識下にダイブするかのように自問自答の連続。脳みその整理。世界の中の自分の小ささとか、いろいろと。
PCT1600kmと日帰り奥多摩ハイキングを比べるのは違うかもしれないけど、まあ素人なので。
冒頭、背負って立ち上がれないほどの大荷物で歩き出すシェリル。ガスはバーナーとの種類?が違くて、ずっと冷たい食事が続くこと。
ガスバーナーを砂漠で始めて使ってみて、分からないから説明書をだして、そこで始めて使えない事が判明したり。説明書を持っていることも。
夜中にテントで読む小説も、日記も地図も全部ハードカバーだったり、素人の僕がみてもおかしな事ばかりだけど、それはちゃんと布石でした。
ある人と出会い、荷物を整理し、それからUL系になる笑。それも成長の描写なのかな。
シェリルも森の中や山道を黙々と歩いてると、自問自答が進んでいた。それはとてもよく分かります。僕も独り言がすごいし。
終始、母親役のローラ・ダーンの幻影みたいなのがちょいちょい出てくる。静かな森の中にローラ・ダーンが佇んでいたりするのだ。
完全にデヴィッド・リンチの映画になっている、怖い。挙げ句にはキャンプ場にいる白馬が夜中光ってたりする、怖い。
かなりカルトな臭いがしてくるのだ。シェリル自身もたまに、たがが外れることがあるし。ハイキングの話なのに、もう怖い。
途中までみてて改めて思った「ああそうか、これはロードムービーなんだ」って。
PCTの1600km(それが部分なのか、全長なのかは知らん)を歩きながら、色んな人と出会い、自分に起こったことを見つめ直し整理する。
そして新しい自分に出会う。その為の1600km。そして「美しさの中に身を置け」とローラ・ダーンはシェリルに言うのだ。
他にも名言めいたセリフが多かったのは好きでした。以下引用ー
ひとつの行動が何を生むか知るすべはない。
何が何を導き、何を壊し、何を花開かせ、枯らせ、道を変えさせるのか。
でも時が戻っても私は同じことをするだろう。
すべてのことが私をここへ導いたのなら。
この映画をみた後、母親に会いにいきたくなる。できれば会えるうちに(実際、実家に帰った)
PCTスルーハイク映画だけど、景色はそんなに良くない。ところどころ良いけど、そんなに心躍るものでもない。
最初に書いたけど、なぜ原題「WILD」が「わたしに会うまでの1600キロ」になってしまうのか。
そのままで良かったのではない?ジョン・クラカワーの「INTO THE WILD」みたいで。

The End_1560 城ヶ島 / PENTAX67
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