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込み入った事態
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「村上春樹 / アフターダーク」

「国境の南、太陽の西」に続いて今作、再読。前は2011年に呼んでいた。
やっぱりこのブログはすごく便利。すぐ忘れちゃからというのもあるけど、前に読んだ時と、今回読んだ感想の違いがよく分かる。
年をとると良くも悪くも若い頃と違う感想を持つ。それを実感するのはすごく楽しいことです。でもこの頃のブログの文章を読むと、まあ酷い。
難しい言葉を使いたいだけで骨がない。今でもそうか。文化だけは政治的な圧力で潰してはならないのだ。というのは今の自分も同感だけど。

終電車がいってしまってから夜明けまでの物語。渋谷のあるファミリーレストランで一人本を読んでいる浅井マリ。そこに何年前かに会った男、高橋がやってくる。二人は以前ダブルデートの頭合わせのようなもので知り合った仲だった。そのデートにはマリの姉であるエリも参加していた。今夜、エリは自宅の寝室で昏々と眠っていた。エリは自室に置かれたテレビの画面に映し出された人物には気付かずに眠り続ける。そんな中、近くのラブホテルで起こった中国人娼婦の殴打事件にエリは巻き込まれる。

「マリと高橋とホテルの支配人」と「マリの姉、エリ」そして「システムエンジニアの白川」の三つの主軸でできた物語。
なんといっても冒頭からいつもの村上春樹感と違うな、と思わさせる三人称の語り口。
三人称なのに「私たち」という主語を使い、読者は物語と読み手の関係を自問せざるえない。というのは解説サイトの受け売りです。
なんだか分からないカメラみたいな視点が浮遊して、彼らを客観的に観察している様は、都市の冷たさとか、非日常を感じさせた。

この作品は村上春樹作品の中でも実験的な作品らしく、批判的な言葉も少なくない。
僕はどうかな。確かに他の作品とまったく違うけど、好きだ。嫌いな作品をあげる方が難しいと思うけど。
ただ、いわゆる村上春樹的な暗喩が三人称で語られると、どこか血の通らないセリフに聞こえてしまう感覚はあった。
読んでる方がこっぱずかしくなるあれ。。だけど慣れてるだけで他の村上セリフもこっぱずかしいものは多いか。やれやれ、とかね笑

あっち側とこっち側を行き来するのは良く出てくることだけど、その都度「森」とか「井戸」とか、くぐり抜けるものがあった。
この物語は「深夜の都市」自体があっち側なのかな。終電車が終わった真夜中の都市は、昼間とは違う場所になる。
あっち側はすぐ僕らの近くにあるし、ひょんなことでそっち側に行く事ができる。そもそもあっちもそっちも対極なものではなく
すぐ近くで干渉しあっているものなのかもしれない。というのは解説サイトの受け売りではありません。

白川の眠りと、エリの眠りはきっと繋がっているし、エリが運ばれていく部屋と白川の仕事部屋は酷似している。
これはデヴィッド・リンチ感があるなーと読んでてドキドキした。眠りで繋がるなんて、なんてロマンチックなんだ。
物語は無事に朝を迎えるけど、やはりこの物語に(だいたいの村上春樹作品がそうであるように)明確な答えは語られない。
いろいろあるけど、後には砂漠だけが残るということなのかもしれない。そしてまた夜はやってくるのだ。

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The End_1467 林試の森公園 / PLAUBEL makina 670

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