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to say good bye is to die a little.
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「村上春樹 / ねじまき鳥クロニクル」

夏にかけて読んでいたんですが、自分の中で咀嚼が長引き、飲み込めない状態が続きました。
読み終わってから次の本を読んだり、映画をみたり、他の物語に触れてはいたんですが、どこかこの物語が上手く自分の中に着地せず。
なにか便秘が続いたまま新しい物語に触れるという、少し精神衛生的によろしくない感じでした。
二回読んだものだし、今回は文章として残さなくても良いかなと思ったけど、それはそれで気持ちの悪い物で。
とりあえず、という言葉はあまり使いたくないけど、中途半端な文章ですが投稿しておきます。これはこれで自分のデータベースにもなるし。

たまにまた読みたい。だけど勢いが必要だな、、と思ってた。それと、皮剥ぎボリスの件が気持ち悪すぎた印象が強くてどこか億劫だった。
でもなんとなく「ノルウェイの森」を読んでる頃から、次は「ねじ巻き鳥クロニクル」かなと思ってて、どこか落ち着かない感じだった。
いつか読み返すであろうと思っていたこの物語、ことしの村上春樹再読イヤーで実現しました。
読んでみた結果、やっぱり読む方も体力がいる小説ではあった。でも前とはちがう印象。それは二回目だからか、歳をとったからかはわかりません。

法律事務所を辞め、毎日家にいて家事をこなす「僕」こと岡田亨。編集者として働く妻「クミコ」との生活は平穏に流れ過ぎていた。ある日、知らない女からかかってきた電話と、飼っていた猫が失踪したことをきっかけに、いろいろな物のバランスが崩れ始める。そしてある日クミコも失踪してしまう。僕は不思議で奇妙な人たちと邂逅し、クミコの失踪の真実を追究する。やがてその失踪の影にある根源的な悪の存在があることを突き止めていく。

僕の思う村上春樹作品の中で、かなり異質なポジションにあるこの小説。
1回目に読んだ時は、とにかく重く、長く、そしてよく分からない不思議な物語。という漠然とした感想しか持てなかった。
要所で強烈なシーンが何回かあって、それが物語の筋以上に強烈に脳裡に焼き付いていた。
先に書いた皮剥ボリスがそうだ。他にも異空間とも呼べる路地裏、そして真っ暗なホテルの一室。208号室。

僕がこの複雑な物語を語れるほど読解していないし、ぼくにそんな文才はない。
それでもこの小説を二回読んでみてそれなりに思うことや感じること、そして気付いたことがあった。
いわゆる村上春樹解説、的なあれとはほど遠いです。どこまでもただの感想ですが書き記します。
そして僕はそうゆう解読的なあれにまったく興味がなかったりもするし。

村上春樹の小説で妻が消えるというのはこの小説以外でも良くあることの様な気がする。
「羊をめぐる冒険」がそうだったかな。うろ覚えだけど確かこの物語と同じで、こつ然と劇的に消えていた気がする。
それと村上春樹の小説の主人公(特に初期)はクールで多くを語らず、去る者を追わない人間だ。だから妻が消えても特に探さない。
「それは起こってしまったことであり、今僕になにかできることがあるのだろうか?」とか言っちゃう感じ。

でもこの小説の主人公、岡田亨(名前がしっかり設定されているのも珍しい、よね?)はしっかりと探す。頑張っている。
この物語は妻を取り戻し、ねじを巻く旅である。それこそ、汗をかき、血を流し、命をかけて妻を探す。
言ってる事は相変わらずクールだけど、かなり必死こいて探す様はかなり感情移入してしまう。今まででこんなに頑張る主人公がいたか?
特に第三部、最終巻、彼はかなり頑張っている。それこそ命を削る勢いで頑張る。同じ人間として頑張っている主人公を応援した。

そして彼の、妻を取り戻す旅は、ある悪を倒す旅でもある。根源的な悪い物という呼び方をされていたあれだ。
それだけ聞くとファミコンのRPGみたいに聞こえるけど、本当にそんな感じなのだ。
主人公はバットを装備して暗い井戸の中に入る。そして向こう側に行き、妻を取り戻す為に悪と戦う。
根源的な悪は海辺のカフカで表現されていた、星野ちゃんが戦ったあの白いやつみたいなのと勝手に理解してる。細かい事は分からないけど。

そしてこれも村上春樹の長編小説ではだいたいキーになってくるこっち側とあっち側。
それをつなぐメタフォリカルな表現。世界はメタファーであふれていることを再認識させる大好きな表現。
いつも森とか、地下通路とか、雨とかで表現されているけど今回はなんといっても井戸だ。
真っ暗な井戸の中であっち側にアクセスする。その時の文章が丁寧かつこまかい描写で、ドキドキする。

そういえば初めてこの小説を読んだ時、影響を受けすぎてて、事務所の暗室にこもった覚えがある。
本当に真っ暗な中で小一時間体育座りをしていたことがある(小説では2~3日?)
その時の僕に小説の主人公と同じ現象は起きてはいないけれど、あれは不思議な体験だった。
本当に2~3日とか入ってたらどうなっちゃうんだろう。ちなみに今回は、、してません。

前回読んだ時と今回の僕の違いはなんといっても、デヴィッド・リンチをみているかどうかだ。
主人公はその井戸を抜けてあるホテルに行くんだけど、そのホテルの描写は僕の中で「ブルー・ベルヴェット」のあのマンションになっている。
文章でそんな表現があるかどうかは問題ではない。そのホテルは暗すぎるくらいに暗く、歩いても音のしないカーペットが敷いてあるのだ。
そのイメージは決して邪魔なものではない。リンチも村上春樹も大好きな作家なので、どちらかというと気持ちの良いものです。

加納姉妹、マルタとクレタについて、ちょっと目に入ったんだけど「同一人物説」があるのね。乖離性同一障害か。
確かに二人は同時に出てこないし、同じ服を着ていたり、名前を無くして取り返したらマルタは出てこなくなるとか。。すごく納得してしまった。
それと強烈な印象の牛河。彼はその後1Q84にも出てきていた。でもやっぱりこっちの小説の牛河の方が明らかに嫌な奴で、不潔だった。
後は、ワタヤノボル、間宮中尉、皮剥ぎボリスと、二回目でも強烈なインパクトを持つキャラクターばかり。

僕の村上春樹の小説の中で上位ランクに食いこむ「国境の南、太陽の西」という作品がある。
あの小説は元々この「ねじ巻き鳥クロニクル」に食いこまれていた物語だったそうだ。
奥さんがその初稿を読んで、要素が多い、みたいな事を言われ削ったそうだ。
奥さんがどんな人かはしらないけど、どこでも女性の意見は強いのね。。。

、、、と、ここまで書いた所で止まってしまった。そして今の僕にこの先を書く気持ちはない。まったくない。
こんなこと初めてだけど、こんな中途半端な終わりにします。もちろん適当なオチをつけてむりやり結ぶことはできます。
でもそれもなんか違う気がする。間違いなく言えることは、またこの小説を読むことがあるということ。
その時にこの中途半端な文章の続きが書けるかもしれない。しまた書けないかもしれない。まあそれはそれで良いのだ。

おしまい

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The End_1423 椿山荘 / PLAUBEL makina 670

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