DATE:2015/10/18(Sun) 10:32 No.1785

「アントニオ・G・イニャリトゥ / アモーレス・ペロス」
こないだ「バードマン」を改めて見直したら新しい発見が色々あった。
それを改めて書くことはないけど、やっぱりイニャリトゥ監督作品って好きだなーと思った。
その中で一つだけみてなかった映画がこれ。初監督作品、ずっとみたかった。
ツタヤ中目黒店にはやっぱりあったのでさっそくみてみた。都心って便利。
メキシコ・シティを舞台として、境遇の異なる男女3人それぞれのエピソードで構成されたオムニバス形式の物語。まだ少年の雰囲気が漂うオクタビオは、同居する兄嫁に密かな想いを抱いていた。バレリアはメキシコでは誰もが知っている売れっ子モデル。そして最後はゴミを集めながらクラス老人、エルチーボ。3人が同じ交通事故に居合わせたことを軸にしてそれぞれのストーリーが構成されている。
アモーレス・ペロスとはスペイン語で「犬のような愛」という意味らしい。
そして劇中に犬はいっぱい出てくる。それは暗喩でもあり直喩でもあるんだけど。
血やグロがダメな僕には厳しい場面は少なくなったです。犬とはいえ、ね。
そして「インビジブルウェーブ」の時に書いた東南アジア的なヌルヌルとはまた違うメキシコの不潔さ。ちょっとだけ厳しかった。
タイトルにもなっている様に、三人とも愛に飢えている。それはかなり複雑な愛の形だ。
オクタビオは虐待されている兄嫁に、バレリアは不倫の末いっしょになった男性に、エルチーボは父親の存在を知らない娘に。
そこにはバードマンでも主題になっていた「人間の存在」という大きなテーマが見え隠れする。人間と犬と愛がもたらす苦悩と孤独に満ちたドラマ。
交通事故を軸として張り巡らされる伏線は、大げさではなく、やりすぎでもなくすごく好みでした。
全てのエピソードで犬が大きな役割を持っている。個人的にはバレリアの飼ってる犬が新居の床下に入り、出てこなくなるというものが好きでした。
村上春樹のファンを公言しているイニャリトゥ監督ですが、このエピソードは本当に村上春樹の短編を読んでいるかのようです。
超一流のマンションの床が抜け(そのまま生活してることが不自然だけど)そこに犬が入り込み出てこなくなる。
そしてキレイなマンションと、穴と、犬と自己が段々とバレリアを変えていく。その雰囲気が異常に好きでした。
ちょっとこれを機に「バベル」とか「21g」とかを見直したい気がしています。年内にできれば良いんだけど。
というのは、年末にかけて目黒シネマ、早稲田松竹のスケジュールが激アツです。是非チェックしてみてください。
ガルシア・ベルナル「モーターサイクル・ダイアリーズ」とか「チェ」とかのゲバラ役で有名な俳優。
個人的にはすごく好きな俳優です。最近は「NO」か。でも今作はまだ少年の雰囲気が残ってた彼の長編発主演映画。

The End_1408 馬喰横山 / PLAUBEL makina 670
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