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森が色彩を生んだ
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「古川日出男 / 13」

彼の小説は昔すごく好きで「ベルカ吠えないのか?」「サマーバケーションEP」「ハルハルハル」と好んで読んでいた。
しかしある時からまったく受け付けなくなった。それでもいろいろ調べて興味は出て、本を買うところまでは行くけど結局本棚暖め隊に落ち着く。
読み進めていた本が終わり、さあ次になにを読もうかと物色するけれど古川作品には手が伸びない。なぜか。
今回読んだ処女作「13」に続き「沈黙/アビシニアン」そして名作とされる「アラビアの夜の種族」まで全部所持している、けど読まない。なぜか。

じゃあなんで今回読んだのか。村上チルドレンと称されていた古川日出男「中国行きのスロウ・ボートRMX」とか大好きだった。
そして結構前になるけれど村上春樹のインタビュー集を読んだ時に、古川日出男との対談が収録されていた。
それがものすごく面白くて、少しテンションが上がっていた。そして僕のラッキーナンバーは「13」だ。誕生日なだけだけど。
愛すべき素数、呪われた忌み数、ティーンズの最初の数字、タロットでは死神、死刑台の階段の段数、ゴルゴ13、アポロ13。とにかく読んでみた。

1968年に東京の北多摩に生まれた橋本響一は、26歳の時に神を映像に収めることに成功した。という文章で始まる。響一は左目だけが色弱という変わった障害を持って生まれた。その代わりに高い知能と色彩能力を持っていた。従兄の縁で知り合ったザイールの少年ウライネ。彼と意気投合した響一はザイールに飛び、そこで片脚の傭兵「13」を介し別人格を持った少女ローミと出会う。

この小説の前半、書き出しはものすごく秀逸で、物語にどんどん入り込んでいる自分を自覚していた。
話は時間と場所を行き来し、細かい収束と展開を混ぜながらも遠い地、アフリカのザイール共和国(現コンゴ民主共和国)に向かう。
そこで響一が出会ったローミという少女。そこら辺から急激にダルかった。説明が多くて嫌になることが多かった。
でも同時に、そうだこれが古川日出男だ、、と思い出した。そうゆうダルい部分を乗り越え、舞台をアメリカに移すあたりからまたスピード感が増す。

どうしてもアフリカ、超常現象、マジカルフィクション、とか謳われると中島らもの「ガダラの豚」が出てきますが、あそこまでフランクではない。
というよりも超がつくほど真面目だし難しくかいてあるし、学術的だし歴史的だし、とても暗示的な部分もあって進みづらい。
この取っつきづらさが古川日出男なんだと思います。そしてこの処女作は、特に「頑張っちゃった」系らしい。だからより難しい。
ある程度慣れると分かるけど、読み方のコツがあるみたい。それが分かればスルスル進みます。ダメな人はダメだろう。

少女ローミはある使命を受けている。それは人間としてなのか、神としてなのか。
その使命感の重圧に耐えきれずに苦しむ様がとても細かく描写されていた。人間としても、神としても。
圧倒的な知識と研究と取材が為し得る小説なんだろうけど、それでいてホラ話。というこのギャップにはため息すらでる。
好きだった古川日出男作品はとてもポップな物だったけど、こうゆう固いのもいいと素直に思う。続けて他のも読むエネルギーは無いけど。

冒頭の一文がとても印象的なので引用ー
この世には毒蛇というものがいないことをあたしは知っている。人はある蛇によって死に、ある蛇には影響を受けないで(咬まれても)平気で生きる。そして後者の蛇を無毒とみなす。決めたのは人の側だ。けれど、試してごらん。人間の唾液を他の動物に注入すれば、ある種の動物は死ぬから。それじゃあ、人間は有毒?あたしはそれを本で読んで学んだ。

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The End_1271 田園調布 / PLAUBEL makina 670

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