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ステンレス・スティールの箱
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「ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界」

僕はロリコンじゃありません。だけどエル・ファニングはすんごい美少女だと思う。
ソフィア・コッポラの「somewhere」みてすごい存在感を感じたし、あの歳であの演技は末恐ろしいと思った。
ダコタ・ファニングは「アイ・アム・サム」でかわいい女の子を演じてたけど、大きくなったらあんまり好きじゃない。
あの姉妹の中で、僕はかなりエル・ファニング推しです。ちなみに僕はロリコン野郎ではありません。

同じ病院の、隣合ったベッドで同じ日に生まれたジンジャーとローザ。彼女たちは幼なじみで、親友として一緒に育っていった。思春期を迎えた2人は授業をさぼっては色々なことを語らい、絆を深め合っていく。世界が核の脅威に脅え、反対運動が盛んになった1970年代。2人の関心も反核運動に向いていた。しかしローザがジンジャーの父親であり、思想家で自由主義のローランドに恋をしたことから、2人の関係がゆっくりと変化し始める。

ジンジャーのお父さんがイケメンキャラなんだけど、ぱっと見はかなり最低なロリコン野郎だと思う。。だけど
このお父さんが、キャラ的にすごく好みだった。子どもに色目使うロリコン野郎だけど、その他の部分はなんか自由でかっこよかった。
「死後の世界という概念は迷信にすぎない。生に限りがあることを恐れないために考え出された。
人生は一度だけだ楽しまなきゃ、命あるうちに生きろ」と静かに笑っていた。そんなことを言える大人になりたい。

思春期の多感な子どもに対して、同じ目線より少しだけ上で、大人の意見を上手く表現してる。
子どもの世界を理解しつつ、知ったかぶりや、お前の考えてることなんて分かっている。という上から目線的なそぶりはなく
あくまでも相手を一人の人間として偏見なしにみている。どうしても見えない物を見ようとしてしまう時期の子どもに対して
尊重しながら道を指し示してあげることは、なかなか容易なことではない気がする。

これは海外との文化の違いもあるかもしれない。前に読んだ「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」の時に書いてあった。
日本人は子どもを子どもとして扱うけど、海外の人は子どもも立派にひとりの人間としてみる。海外の人は個人としての気持ちが強いのだ。
逆に日本人はその個人力が弱い。だからSNSの自分の写真が子どもだったり、違うものだったりする。自分を投影する鏡のような存在だったりする。
父親が「ママはあっちだよ」と子どもに言う、それは「きみのママはあっちだよ」の間違いで、それだと父親のママ=祖母はあっちだよ、になる。

子ども目線になって子どもの立場になって考える。というと言葉は綺麗だけれどそれは個人力がないだけのような気もする。良い悪いの話ではなく。
話がちょっとずれたけど、この映画では思春期の不安定な女の子に対して、真摯に受け応える様が要所で見て取れた。
もちろん子どもだから、分からないことを教えること。道を外れそうな時に強制ではなく道を指し示すこと。
とても難しいし答えはないし結果論でしかないんだけど、もし僕がその立場に立った時は自分の意見を胸張って言えるようになりたい。それも個人力。

エル・ファニング。なんか「somewhere」の時に比べ、演技に拍車がかかっていた気がする。
まだ少女の雰囲気を少し残しつつ、大人になっていく、残酷で、美しくて、とても儚い時期なんでしょう。
後半にかけて泣くシーンが多くなるんだけど、毎回声をあげたり、静かに泣いたり、顔をしかめて泣いたり
特に嗚咽混じりに泣き崩れるシーン、すごく印象的だった。良かったです。

核戦争で人類が滅亡すること、破滅論は思春期にありがちな感情だけど、ジンジャーの世界はそうゆうものではない。
その世界が壊れる、もしくは終わることこそが「ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界」ということなんでしょう。
壊れても、許して、受け止めて、それでも生き続けること、新しい世界を受け入れることが朝なんだな。なんか良く出来た映画。
取捨選択していくことが大人になること、とは僕の口からは言えない。僕自身、自分の世界を捨てきれないで大人になったようなものなので。

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The End_1095 千鳥 / PLAUBEL makina 670

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