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物置きの冒険
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「大林宣彦 / この空の花 長岡花火物語」

これはみる人をとても選ぶ映画だと思います。苦手な人はちんぷんかんぷんで、いらつきそう。
僕は大丈夫、というかとても良かったです。今までの大林宣彦監督の映画とはまったく違う映画でした。
戦争といえば、広島、長崎、沖縄などが上げられるけど、長岡にも戦争の爪痕は大きかったことを知った。
そして戦争体験者がいなくなった後、語り継ぐ役目は僕らにあるんだという、学生時代から僕らがいっていたことを思い出した。

新潟県長岡市の教師である片山は、生徒が作った「まだ戦争には間に合う」という演劇舞台と長岡の花火大会をみてほしいと、昔の恋人で地方記者の玲子に手紙を送った。天草市に住んでいた玲子は、その機会を使い東日本大震災の被災者を受け入れた、同長岡市の様子もみてまわることにした。取材中、様々な人に出会い、話を聞きまわる中で不思議な体験をする玲子。それは戦争時の空襲や、新潟県中越地震などの震災から立ち直ってきた人々と、長岡の歴史とが関わっていることに気付いた。そしてやがて玲子の旅は現在だけではなく、過去や未来も入り乱れた、時間を越えたものになっていく。

これは映画ではなく、ドキュメンタリーかもしれない。
でもそこは大林臭がすごくしてて、タイムリープ的なSF感と、はめ込み合成なのかな?あの不思議な距離感が異色です。
長岡市のPR的なものもあったみたいで、所々大人の理由的なものがみえた。戦争や震災とは関係ない部分とか。
でもみてる僕は長岡にも行きたくなったので、してやったりかもしれない。ついでに言うと天草にも行きたくなった。

ネタバレにもならないと思うので、かいちゃうと、SFなのでいきなり山下清が登場したりする。
もちろん回想とかじゃなくリアルに。あの有名な「長岡花火大会」の切り絵とかが出てくる。ぼくあんまり知らないんだけどね。
「みんなが爆弾なんかつくらないできれいな花火ばかりをつくっていたらきっと戦争なんか起きなかったんだな」というセリフ
この物語の中で聞くとグッときた。もちろん俳優さんは、たまのドラマー、笑。

玲子は取材中様々な写真を見る。それは戦争で苦しんでいる人や、出征した人たち、里の子どもたちの写真。
この物語は時間を越えたSF要素があるので、その人たちも実際に出てくるんだけど、それはあくまでも物語。
現実社会において、写真を撮る、写真を残すというくことは、歴史を作るのとおなじに見えた。
教科書に載るような歴史ではないにしても、もっとマクロな世界にもひとつひとつ歴史があるんだなって。

中越地震の存在って、同じ日本で起きた震災なのに、神戸の震災と東日本の震災に挟まれて影が薄くなっている気がする。
それこそ死んだ人数や壊れた家屋数でメディア的な判断されてるような気がする。だけど僕だってその震災のことをを忘れてた一人。
こうやって映画を通して知った事だけど、忘れる前に、知らなかったいろんなことがすごく多くて、勉強不足だなと本当に思う。
そして同じくらい思うのは、新聞やニュースは派手なタイトルや見出しだけで、まったくリアルじゃないということ。

以下劇中で演じる舞台「まだ戦争には間に合う」から引用ー

かつて戦争がありました。かつて地震がありました。
かつて沢山の人が死んで、沢山の悲しみが宙ぶらりんになりました。
ふるさとには行き場のない悲しみが転がり、川にはやるせない思いがとけこみました。
それでもふるさとは元に戻り、川は今日も流れています。
それは希望、人の勇気、その人がたちが胸にきざんだ体験を、私たちは痛みを持って知りました。
だから私たちは、別な誰かにそのことを伝えます。まっすぐに、祈りをこめて。
花火がこんなにきれいなのは、夜が暗いから。
花火が消えた後の夜には、心の明かりがともる。
神様はきっときっと、これくらいの明るさで暮らしなさいと、私たちに伝えてる。明るすぎる夜は心を壊すから。
忘れないで欲しい、私たちはあなたを想っている。
忘れないで欲しい、私の隣にあなたはいる。あなたの隣に私はいる。
この空に花を、この空に花を、みんなで一緒に、この空に花を咲かせましょう。この空に花を咲かせましょう。

ここまでの長い物語をみていると、この中学校で教わるような、きれい事ともとれる言葉が
それはもう、ものすごく心に響いて、僕はやっぱり泣いてしまった。

凡庸なことをいいます。戦争体験者がいなくなったあとの僕らは、かつて戦争があったことをどこまで伝えていけるんだろうか。
どこまで風化させずにリアルに寓話にならないように伝えていけるんだろうか。それはもしかしたら完全には無理かもしれない。
どうしても「昔起こったこと」ということになってしまう。時間が経てば経つほど。そして僕らはそれを体験していないんだから。
これは個人のことではなく、全体の問題になっていくんでしょう。だからこそ個人が考えるべきことなんでしょう。

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The End_1050 井の頭自然文化園 / Nikon F3

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