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取り急ぎチューダーでも
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「市川準 / トキワ荘の青春」

目黒シネマ二本目。かの有名なトキワ荘の話。トキワ荘の話になるとカナコちゃんを思い出す。元気かな。
石ノ森章太郎の小説、藤子不二雄Aのまんが道、いろいろあるけどこの映画はテラさんこと寺田ヒロオを中心に描いた物語。
トキワ荘メンバーも藤子不二雄Aと、鈴木伸一以外はみんな死んでもうた。時間が過ぎた。どんどん昔のことになっていく。
そう考えると、この物語もいっそう切なく見えるのは僕だけではあるまい。中華食堂松葉は健在です。

椎名町にかつてあったトキワ荘。手塚治虫や石ノ森章太郎、藤子不二雄、赤塚不二夫など、漫画界の有名どころがひとつ屋根の下で暮らし、漫画に夢中になっていた時代があった。その中でもリーダー格であった寺田ヒロオは、若き漫画家志望者を集め、新漫画党を結成する。しかし売れっ子漫画家になった、石ノ森章太郎、藤子不二雄らに対し、なかなか芽の出ない赤塚不二夫や、森安直哉、鈴木伸一などは生活も苦しく、明暗を分けていた。そして寺田本人も「子どもたちのための漫画」という自分の理想と、商業主義である雑誌編集者との間に溝を感じ始める。

テラさん役を本木雅弘が演じてるんだけど、こんなに寡黙な人だったんかな、くらい真面目な演技。
あんまりはっちゃけた役ってこの人やらないよね。ぼそぼそ話すイメージ。好きです。
この映画は1996年公開なんだけど、もっくん以外の俳優はまだあまり有名でない新人俳優を選出してたみたい。
阿部サダヲ、生瀬勝久、古田新太と、今となっては有名な俳優になっているので、役を飛び越えてなんか感傷的になってしまう。

物語はちょっと説明が不親切で、誰が誰だかが分かりづらい。トキワ荘について事前知識ある僕でもわからない部分があったので、
全然知らない初見の人はチンプンカンプンになるかも。正直、赤塚不二夫なんてしばらく分からなかった。
逆に知らない事もあって、つげ義春はトキワ荘にひんぱんに訪れていたらしく、劇中でテラさんと漫画について語り合うシーンがある。
テラさんはぼそっと静かに言うんだ「自分の傷を描くのはどうかと思うよ」って。さらっと批判してて、しかも的確で笑った。

テラさんは寡黙だけど頑固な所があって、自分の世界観を曲げてまで世の中に合わせることを、頑なに拒んでいた。
後半テラさんは雑誌編集者に言われるんだ「もっと目新しい、派手な物を描けば読者は喜ぶんだ」と。いわゆる商業主義。
でもはっきりとテラさんは断る「そんなものは描きたくありません」と。これなかなか言えるものではない。
道楽的な自己表現であれば誰でもできる。しかし彼らは生活がかかっている。それでも理想がまったくぶれない様が素晴らしい。

僕もそうだが、まだ自分の進む道みたいのが定まってない若い頃に出会った人、影響を受けた人って財産だと思う。
良いことも悪いことも、共感する部分もそうでない部分も、討論もケンカも、笑うことも泣くことも、酩酊も。必要だったみたい。
そうゆう話をした人で、今も僕の近くにいる人もいれば、どこで何をやってるか知らない人もいます。
もう会わないだろう人も、どこかで自分の世界を構築してるであろうことでしょう。それはそれで切なくていいよね。

映画とは関係ないけど、晩年のテラさんについて調べてみた。といってもwiki情報だけだけど。
1973年に絶筆。その後トキワ荘の仲間とは疎遠になっていた。だけど、他界する2年前に皆を集めて宴会をしたらしい。
終宴後、別れていく仲間たちにずっと手を振っていたテラさん。そして家族に「思い残す物はなにもない」といったらしい。
その宴会の模様を鈴木伸一がビデオカメラで撮影しており、テラさんはそれをよく見返していたそうだ。

その後テラさんは家族とも疎遠になり、家の離れで酒をあおるようになる。そしてある日、部屋の中で一人死んでいた。僕はこの事実で泣いた。
家族は酒ばかり飲むテラさんに病院へいくよう勧める。しかし聞く耳を持たず、家族には「この人は、もう死にたいんだ」とまで思わせた。
この頑固さに尊敬の念すら憶えます。きっと世の中に合わせようと思ったら合わせられる技術はあったんだと思う。それができない理由は
「自分にしかできないものを作りたい。それ以外は自分じゃない誰かがやればいい」ということかな。これは僕も程度は違えど同じ部分がある。

映画としてはあまり良い点をつけられないかもしれないけど、題材も含め個人的に楽しめました。
劇中、急にカメラ目線になり、こちらに話しかけるようなシーンが多くある。
あれって「トニー滝谷」の時も多用してたな。好き嫌い分かれるかもしれないけど、僕はありです。
あれで急に語り部感が出てきて、物語に吸い込まれる感じがある。

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The End_1035 福生 / Nikon D610

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