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ポリティカル・ポリティカル
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「岩井俊二 / ヴァンパイア」

目黒シネマでやってる岩井俊二特集、第三弾。
前回のリリィ・シュシュと、スワロウテイルの二本立てに続いて行ってきました。
「ヴァンパイア」「打ち上げ花火、下から見るか?上から見るか?」「四月物語」の三本立て。
近所にこうゆう名画座があるのはすごく嬉しい。早稲田松竹が近くにあったら、僕もっと嬉しい。

高校の生物教師であるサイモンは、自殺サイトで知り合った女性と落ち合い、自殺の幇助をするといいつつ血液を抜き取る行為を繰り返していた。ちまたでは「ヴァンパイア」と騒がれだすが、当の本人は集めた血液を飲もうとすると吐いてしまったり、ある事件を目撃したときに極度に動揺してしまったりする。アルツハイマーを患う母との生活に、サイモンに好意を寄せる女性が出入りするが、静かにいつも通りの毎日を送っていた。とある自殺志願者と出会うまでは。

血が苦手な僕がよくみる気になったな。と自分でも思う。理由は岩井俊二作品ということだけ。
これはすごく不思議な映画。タイトルが「ヴァンパイア」だから、自然と吸血鬼という目線でみてしまうけど
冒頭から大いなる疑問が湧いてくる。血を飲もうとして吐き出してしまったり、ある男の行為に激しく憤ったり。
こいつは本当にヴァンパイアなのか?という大きな疑問を抱えながらみることになる。

いままで数多くあるヴァンパイア映画は、大きく二つに分かれると思う。
スーパーマン的な超人ヴァンパイアと、社会から隠れ、コソコソ血を求める絶滅危惧種ヴァンパイア。
今作は完全に後者で社会に溶け込み、超人的なパワーもなく空も飛べない。そもそも本当にヴァンパイアかどうか。
もちろん日を浴びても大丈夫だし、コウモリに変身することもなく、ニンニクも十字架も嫌がらない。

多分この物語の肝はそこじゃないのかもと思ったら、すごく緻密に作られた映画にみえてきた。
日本公開のコピー「惹かれあう孤独な魂たち、この世の果ての恋物語」というのもあって。
彼がヴァンパイアかどうかはみてる側が決めればいいことで、もしかしたらどっちでもいいこと。
ラストのシーンは過去の回想だと思うけど、そのシーンが物語ってると思います。最後の一言もしかり。

自殺や血液嗜好症という陰鬱なテーマがみえるけど、あくまでもラブストーリーだということ。
目に見える、表にでてくる愛情表現ではなく、お互いが心から惹かれあう微少な心の動き。
コピーの文句を借りれば「惹かれあう孤独な魂たち」というのがまさに。です。
僕が岩井俊二作品を好きな理由はこれで、押しつけがましくない静かなメッセージ。これにつきるのです。

デジタル作品で岩井俊二感がどこまででるんだろうと思ってみてた。
冒頭の印象はやっぱりデジタル感が否めなくて、シャープで綺麗すぎて、少しガッカリした。
だけどみてるうちにやっぱり岩井俊二だと思った。逆光や瞬きの感じとか、従来とは違うけど岩井俊二だった。
映画「神の子どもたちはみな踊る」をなんとなく思い出した。グレーとブルーとグリーンの感じ。

アデレイド・クレメンスという女優さんが良かった。
マライア・キャリーとミシェル・ウィリアムズを足して割ったような人
蒼井優も日本人留学生という役で出てるけど、やっぱり良かった。
目黒シネマで今週金曜日までやってます。

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The End_957 駒沢 / Nikon F3

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