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親愛なる五月へ
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「西澤保彦 / 黄金色の祈り」

最近そんなのばかりですが、この人の小説も初めて読んだ。本棚暖め隊の一作品。

中学時代「僕」は吹奏楽部に入部した。ある日上級生のアルトサックスが盗まれる事件が起こる。しかしそれはこれから起こる大きな事件に繋がった小さな事件でしかなかった。他人をうらやみ、成功することばかりを考えている「僕」の半生を描いたミステリー小説。

一応ミステリー小説とジャンル分けされているけど、自伝的になニオイありの青春小説。
時代も場所も違えど、芦原すなおの青春デンデケデケデケ的な雰囲気もありで楽しめる。
あれとはまた違う10代男子のダメさっぷり。しょーもさなっぷりが出てて懐かしい。
振り返ると穴が会ったら入りたいという、赤面必至の記憶は男子には必要なことなのだ。きっと。

物語は中学校の旧校舎、しかも天井裏で変死体が見つかった事件から始まる。
死体は死後半年〜1年は経過していて、白骨化していた。そして遺体の傍にはアルトサックスが置かれていた。
この始まり方からいくとバリバリのミステリーなのかと思ったけど、結構ゆるい感じで話は進んでいく。
ちょいちょい事件の伏線めいた物が出てくるけど、基本的には主人公のダメな感じがつらつらと描かれる。

主人公は典型的にダメな男子。ダメというのは語弊があるかもしれないけど。ダメ。
いわゆる「一つの事をずっとできない人」だ。ちょっとやってダメなら次へ。それもダメならまた次へ。
諦める時にはそれなりの理由を作り自分を正当化する。そして新しい野望を掲げるけど根拠はなにもない。
ダメだなあ。と思いながら、自分もそうゆう所あるよな、とも思う。多分誰でも多かれ少なかれあると思う。

今僕がこの歳になってみて思うんだけど、それはそれで全然悪いことじゃないんだろうな。
いろいろやってみることはいいことだし、諦めが肝心なことも大いにある。しょうもない言い訳もでる。
そうゆう赤面エピソードはほろ苦い思い出になるし、よっぽどのアホじゃない限りそのままじゃダメなことに気付く。
自分の世界に線を引くことになる。それまでは赤面エピソードでもあるにこしたことは無いような気がする。

ミステリーという面で引っ掛けられた感じはしなかった。犯人?的なものも半分くらい読んでイメージできた。
それだけ聞くとあまりおすすめできる小説ではないかもしれないけれど、青春小説という意味ではおすすめできるかも。
きらびやかな汗ほとばしる青春ではなく、陰鬱で、コンプレックスと自意識の塊の時期を懐かしく思える人にはおすすめ。
この歳になって読んだのがまた良かったのかもしれない。いい印象が残った小説になりました。

自分は特別。自分はなんでもできる。何にでもなれる。と信じていた時期。誰にでもあるんだと思う。
だけど自分にはなんの才能もないということに気付く時がくる。自分はなにも特別じゃなく、ただの一般人だと。
自分が無力だということを認めることが大人になるということなのかもしれない。そう考えると少し淋しい気もする。
ちなみに小生はまだ「何にでもなれる」と思っています。それがこじらせ系と思われる要因かもしれない。

でもそれでいいのです。

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The End_932 駒場 / Nikon F3

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