DATE:2014/03/07(Fri) 12:27 No.1373

「Helpless」
96年公開。当時の浅野忠信はどこか神格化されていて、彼を好きだと言っておけばなんかオシャレ。的な雰囲気だった。
そして彼の出てる映画=良い映画って言っておけば、なんか映画通っぽかった。
僕はもちろん浅野ファンだったけど、今思い返すとそんな短絡的な気持ちで、良い!と言っていた気がする。
この映画をみなおしてみると高校生ボーイにはとうてい理解できるものではないと思った。それはそれでいいんだけどね。
仮出所してきたヤクザの安男。組の仲間が安男を迎えに来て、組長の死と組の解散を安男に伝えた。安男はその事を信じず、自分をだます為の嘘と思い込みその仲間を殺してしまう。安男は高校生の健次に妹のユリを預け、後でレストランで落ち合う事を告げ組長を探しに行っていしまう。健次はユリを連れてそのレストランに向かう事になるが。
好きな監督のひとりの青山真治。彼の映画と言えば、心の深淵、無慈悲、そして虚無。だと思っている。
その青山真治監督の映画デビュー作。そして浅野忠信も初主演作品。
「北九州サーガ」という三部作の一作目で、全員ベタベタな北九州弁でしゃべる。これがまた柄が悪い。
これを機に青山作品にはほとんど出演する事になる光石研が、すごくいい役者さんで、好きです。
96年の映画。当時僕は16歳だけど、この映画をみたのはたぶん高校生。90年代。
ファッション、バイク、ポラロイドカメラ、全てが当時の雰囲気をだしていて、懐かしい&痛々しい。
軍パン、ハーフパンツ、襟ぐり小さいのにサイズでっかいTシャツ。懐かしい&痛々しい。
その時代でいう70年代、80年代という呼び方で「90年代」とジャンル分けされることが想像できなかった。
なんか高校生当時の自分を思い出してしまった。一日が永遠のようで虚無に苛まれて、日々を無気力に過ごしていた日々。
そして夏。夏の暑さが今と違った。たぶん変わったのは僕だ。
ひとつだけ言えるのは、あの頃の自分が元になって今の自分が構成されているはず。
そう思うと郷愁感にも似た気持ちが僕を締め付ける。そしてあの頃には戻れないことを再認識するんだ。
今までみてきた映画が多ければ多いほど、これからこうゆう気持ちになることが多くなるという事だ。
想像すると、すごくワクワクする。そして映画って本当にいいなと思うんだ。
この映画は青山真治特集として、松田松竹の二本立てでみた。今年もすでにいっぱいお世話になっております。
もうひとつは「共喰い」田中慎弥のやつ。これがまた素晴らしかったので、それはまた。
ちなみに。
僕は普通免許しかないから原付しか乗れないけど、なんか中型の免許を取ろうかと思っちゃったよ。いまさらだよね。

The End_909 学芸大学 / Nikon F3
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