DATE:2014/01/17(Fri) 09:38 No.1352

「貴志祐介 / 新世界より(中)」
中巻、間開いちゃったうえに小出しですみません。
上巻の後半、バケネズミとの戦いが一段落してからの展開。
上巻の終わり方が意味深で、すぐ中巻を手に取り読み始めちゃった。
作者の作戦にどっぷりはまった感じ。
上中下巻に別れたレビューなので、どうしてもネタバレになってます。
未読の人は以下の文章は読まない方が良いと思います。
結果的にはすごい面白い小説なのでなおさら!
規則を犯した生徒たちに対し、神栖66町の倫理委員会は彼らの記憶を操った。しかしその事によって神栖66町の裏の顔が見え隠れしだす。危険な兆候を見せた少年少女を排除することによって何百年の安定を実現してきた経緯。神栖66町の過去や、外界で蠢き反映しるグロテスクな生き物「バケネズミ」との均衡など。彼らは何をみて何を知ったのか。
中巻で今まで広げた伏線や未解決の物事が少しだけ回収されだした。
それによって判明した部分と深まる謎な部分とがあって、ヤキモキする。
古典っちゃあ古典なんだが「それが彼女を見る最後になるとはその時は思わなかった」的な事を言われると
「なんだよもう。早く言えよ」となってしまう。すごく良い意味で。策に見事にはまっている僕です。
序盤から神話めいた言い方をされていた「悪鬼」や「業魔」の詳細がかなり描かれている。
特に過去に出現した「悪鬼」の説明の所は本当にリアルで、手に汗を握って読んでいた。
読んでいて恐怖感を感じる文章はそう経験ないかも。これは下巻でも同じ事が言える。
どんどん気になるし、どんどん進むから、細かい矛盾とか気にせず突き進められる。
中巻で彼ら5人の仲は大きく動く事になる。
仲間で一番の秀才、瞬の存在。同姓を越えた愛情を持つ真理亜の決断。劣等感から自分を責め出す守。
そして主人公の早季と覚の関係もいろいろ、いろいろ動きだす。
いわゆる学園モノの延長だった上巻から、一気にミステリー&戦争アクションに変わって行った。
下巻は上中よりも100P程多いけど、この伏線回収がすべてうまくいくかは心配になっていたお正月。

The End_888 川崎 / Nikon D600
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