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「村上春樹 / 遠い太鼓」

天童荒太の「永遠の仔」を読破した後しばらく(といっても1週間くらい)は本を読めなかった。
読めなかったというか読む気が起きなかった。なんかいろいろ考えてしまってダメだった。
しばらくして回復してきたから、なんか読むべと思ったけど、やっぱり重ためなものは避けたくて。で、これ。
全て読んでいると思ってた村上春樹は「オウム関連」とこの本だけは未読だった。旅行記だし気軽かなと思って。

1986年から1989年に渡り、ギリシャ・イタリアに移り住み執筆活動をしていた村上春樹の、旅行記というよりも滞在記。ギリシャの観光地として有名な島のシーズンオフの有様や、地元民との交流。そしていざハルキ島へ降り立つ村上春樹氏など、ユーモアにも溢れ気楽に読めるエッセイ。露出の少ない作家だけに、普段の生活が垣間見られる文章は新鮮。妻との口ゲンカのエピソードなど意外ともとれる著者の言動が新鮮だった。

この本はその時の僕ににとって、ものすごくちょうど良い本だった。
旅モノといえば沢木耕太郎や藤原新也が真っ先に出てくるけど、そうゆう重さはまったくない。
重いからダメとか軽いから良いとかではなく、今の僕に合っていたという話ね。もちろん藤原新也は大好きだ。
この軽さはなんだ?と思ったら、そういや旅じゃなくて滞在記だからだ。著者は「住み移り」という言葉を使ってたけど。

旅と旅行の違いとはなんなんだろう?いろいろ調べてみた。。

旅 ー 行程がある程度しか決まってないもの
    現実から逃避するもの
    迷いながら行くもの
    生活しながら、または生活のために移動すること

旅行 ー行程が決まっているもの
    現実と一緒に行くもの
    迷わないように連れて行ってもらうもの
    物見遊山、観光目的

なんか面白いな。通り過ぎるという事には変わらないんだけれど、いろいろある。
姿勢の問題なのかしら。でもできるのならば僕個人としてはやっぱり「旅」がしたい。
歳をとっていくと、やっぱりいろいろ億劫になってしまい、どうしても旅行になってしまうんだろうけど
まだ「旅」でいたいみたい。年齢に抗いたいという訳ではなく。姿勢の問題。

しかしこれから先に藤原新也的な「重めな旅モノ」って読む事あるんだろうか。。ここ何年も読んでないし。
ああゆう類のものは、ある程度若い頃に読むべきものなんだろうと思う。まだ自分の世界が開ききってない頃。
現在の僕の世界も、もちろんまだ開ききってないけど、今読んだとしても素直に受け止められるかは少し不安だ。
「若さ」という素晴らしさはそうゆう所にあるんでしょう。無知ゆえの純粋さ。少しでも残っているならば大切にしたい。

まったく本の内容にふれてないけど、相変わらずの安定した文章で、僕にとって良いリハビリになりました。
ストレッチして固くなった身体を丁寧にほぐすような感覚。気持ち良かった。
旅行とはまったく関係ないんだけど「ノルウェイの森」における本人の感想が載ってた。
これはすごく珍しくも感じたし、とても印象的だったので引用。

「すごく不思議なのだけれど、小説が十万部売れているときには、僕は多くの人に愛され、好まれ、支持されているように感じていた。でも「ノルウェイの森」を百何十万部も売ったことで、僕は自分がひどく孤独になったように感じた。そして自分が多くの人々に憎まれ嫌われているように感じた。どうしてだろう。表面的には何もかもがうまく行っているように見えたが、実際にはそれは僕にとっては精神的にいちばんきつい時期だった。いくつか嫌なこと、つまらないこともあったし、それでずいぶん気持ちも冷えこんでしまった。今になってふりかえってみればわかるのだけれど、結局のところ僕はそういう立場に立つことに向いていなかったのだろう。そういう性格でもないし、おそらくそういう器でもなかった。」

そして今の僕はまたしてもすごく長い小説に手を出してしまっている。
年またぎは必須、お正月にゆっくり読もう~。

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The End_881 六郷 / Nikon D600

「THE END PHOTO」「PHOTO ARCHIVE」「Trinograph. INTERIOR」「Facebook」
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