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瞳が輝いているようにみえた
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「天童荒太 / 永遠の仔(下)」

やっと読破しました。本当に長かった。でも読んで本当によかった。

あらすじは上巻のコピペです
1979年。久坂優希、長瀬笙一郎、有沢梁平の3人は四国にある双海病院の児童精神病棟で出会った。3人はその病院に来るまでのお互いの傷を告白しあい、強い絆で結ばれる事となる。しかし神に会えるという霊峰への登山で起きたある事件により3人はバラバラになってしまう。そして17年後、優希は老年科の看護師、笙一郎は弁護士、梁平は神奈川県警の刑事になっていた。そして優希の勤める病院で3人は偶然再会した。

上巻の時からそうだったけど、僕に縁深い地名がいっぱいでてきた。
横浜、品川そして川崎。川崎にいたっては鹿島田や平間、幸警察まで出てくる。
ちなみに僕の実家は幸区で、最寄りが鹿島田駅で、通っていた中学は平間中です。そのくらい近所の話。
鹿島田から川崎に出るのにバスは不便でしょ!とか地元の人にしか分からない感想までもってしまった。

えー、読んでみての感想は予想通り「重い」の一言につきます。「悼む人」ほどは痛々しくなかったけど。
その違いはなんだろう?「永遠の仔」は救いがなさそうに見えて小さい希望がちりばめられている。
「悼み人」はそうゆう種類の希望は見いだせなかったな。残される者と逝く者の想いの先、的な。宗教っぽかったのか?
今回のこの本は、読む人によっては救いのない暗く無駄に長い話なのかもしれません。でも僕は本当に読んで良かった。

とくにラストを飾る終章はこれ以上ない虚脱感で、もう読み終わる前から力が抜けてきた。
あの虚しい終わりの雰囲気はすごく好きです。長い時間かけて読んできてよかったなあ、と思わせる。
もともと長い小説は好きなんだけど、最近は時間がないことにかまけて長編に手を出してなかった。
これを機に他の長編も、とは思うけどこの本の影響は割と大きかったみたいで、読破後次の本に進めてすらいない。

川崎周辺でおこった殺人事件は、上巻では断片的に語られていたけど、下巻でずんずん明らかになってきた。
その殺人事件と彼ら三人。そして彼らの家族などとの関わりもいろいろ、本当にいろいろとでてくる。
そうなってくるとミステリー感も多くなり、それはそれで「犯人は誰?」的な感じで読み進められる。
全編通してメンタルめいた重い話が続いてたら、たぶん僕は吐いていた。なのでこれは読み手にとって非常に助かった。

しかしどこまでいっても、この作品はミステリー小説だけでは納まるものではない。
児童虐待が根幹になっているけど、老人介護の現状、病院の形態など、登場人物それぞれが抱える問題が集まり
ひとつの物語になっている。そして読み手の僕はその中の誰に属する人間なんだろう?と感情移入した。
この世に問題を抱えていない人間なんていないから、それは僕だけじゃなく皆が抱くものかもしれないなと思った。

そして物語は収束してゆき「人間の幸せとはなんなのか」という大きな疑問に向かう。
それはやっぱり答えがないものだし、人によって違うものなので、人間が抱える永遠のテーマでしかないと思う。
しかし人間はどこまでも弱く不安なので、答え的なものを求めてしまう。他人にも頼ってしまう。救いを求めて。
ラストに向かい迫る緊迫感にページを綴る手は止まらず一気に読了。救いはあったのかな?ゆっくり考えたい。

優希はいう。あなたたちの言葉は一生忘れない。わたしにとって、真に支えとなってくれるのは、あなたたちの、心の底から発せられた、あのときの、言葉です。もしかしたら、あらゆる人々が、ただあの言葉だけを求めて、生きているのかもしれません。

その言葉が何なのかは読んでみてください。
僕が感じたのは、そうゆう何気ない言葉でも一生支えになる「言葉の力」ってすごいという事。
それは逆にいうと、無責任な言葉は発せられないという事でもある。気にしすぎると喋れなくなってしまうけど。
僕はよく思ってもないことをベラベラと放ってしまう人間なので、気をつけないといけない。ごめんなさい。

もう一つ引用ー
どんな感情も、素直にだしていいんだって、ようやく思えるようになった。そして、もう一つ大切なことは、わたしも人を支えることができるんだって、自覚できたこと。自分を犠牲にしたり、身を粉にしてつくすような形じゃなく、ただ相手を認めるだけでよかったの。あの人が、一番望んでいたことも、結局わたしと同じだった。あの人が、あの人として生きていることを、わたしが、ただ認め、受け入れるだけで、支えになるとわかった。そんな単純なことで、わたしの人生は意味のあるものに変わっていったの。

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The End_876 羽根木 / Nikon F3

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