DATE:2013/11/17(Sun) 07:52 No.1319

「ペタルダンス」
前にみた同じ監督の「好きだ」という映画がすごくすごく好きだった。なのでこの映画も期待してた。
でも、みる前からどんな雰囲気の映画かが想像できて。みてみたらやっぱり想像通りの雰囲気で。
それはがっかりするものではなく想像通りでもみてよかったと思える映画だったのだよ。
風の音。うすい青。灰色。極端な構図。
大学卒業以来会っていない友人が自殺未遂をした。図書館に勤めるジンコと素子は休みを合わせてその友人の元へ向かうことにする。指をケガして車の運転が出来なくなったジンコは、図書館で知り合った原木さんに車を運転をお願いする。原木さんは職を失ったばかりでその日暮らし。女3人で北の果ての風の町をめざす。
現実はこの映画のように地味で淡々としているんだと思う。
そして劇的ではないことの中に物語はあるんだと思う。でもそれを映画でやると成り立たない気もする。
しかしこの映画はというか、この監督の映画は成り立つのだ。とても静かな映画です。
そしてまるで自分がそこにいるような、映画の中の温度や臭い、風の感触まで伝わるような映画だった。
自殺未遂をした旧友に会いに行く。失踪した友の影を引きづりつつ生きる。
そんなやや暗めなテーマの中でも、どこか滑稽で微笑ましくみえる女三人の小さい旅。
宮﨑あおいのヒラヒラ具合がすごく良くて、みててドキドキしてしまった。風にのって飛んでいってしまいそうで。
同じくらい安藤サクラが良くてさ、一気に好きになった。友達になりたい。
4人ともそれなりな問題を抱えている。思えば人間はいつでもそれなりな問題を抱えているはずだ。
その問題に対して明確な答えに向かっていく事って、結構エネルギー使うしなかなか億劫なことだと思う。
ほとんどの人は問題を抱えたまま生きていくんだろう。そしてそれはそんなに悪いことではない気がするのだ。
でも「解決」ではないにしても「自分の中でのある一つの答え」的な物はどこかで必要だったりする。言葉ではなく。
歳をとっていくとみんなそうかもしれないけれど、僕みたいに自営で仕事をしていると特に思う事。
「学校」という物が終わり社会に出て生活しだしてから「もう一生会わないんだろうな」と思う人が多くなる。
そうゆう風に思う事が加速度的に増えていくけど、それはきっとしょうがない事なんだろう。みんな忙しいし。
だからこそ小さな別れに対しても、ちゃんとさようならしないといけない。僕はそこまで丁寧に生きていられてるかな。。
、、この映画をみてて、ぼろい車が欲しくなった。ダッシュボードがプラスチックのやつ。古いルノーとか。
そして当てもなく高速道路を走りたい。きっとぼろい車にはまだカセットテープが付いているはずだ。
それで昔のミックステープを聴きながら走りたい。特に観光名所を巡る訳でもなく、カメラだけ持ってきままに。
季節はちょうど今くらいで、できれば小雨とか降ってきて頂きたい。よろしくお願い致します。
この映画、すごく良い映画でした。。是非ヘッドフォンで風の音を聞きながらみて頂きたい。

The End_857 多摩川 / Nikon F3
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