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隠蔽工作よろしく
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「LAコンフィデンシャル」

タイトルからして趣味の映画ではないので、自分から手をとったことはあまり考えられない。
なにかでオススメされていたんだろうけど、なんだったけな。

ギャングによる縄張り争いが激化する1950年代のロサンゼルス。街のコーヒーショップで6人の男女が殺される事件が起こる。被害者の中には刑事が含まれていて、その相棒バドは復讐の念にかられながら捜査を開始する。高級娼婦組織を追うジャック、若手の野心家エド、それぞれの思惑や背景をちらつかせながらも容疑者を追い詰め、事件は解決に向かって動いていたかに見えていた。

前半は登場人物の関係と、事件と、なんだかわからないものがとにかく絡まっている。
伏線めいたものもチラホラでてくるけど、嫌らしくなくさらりとしている印象。
先が全然予想できないのに、ぽんぽん進むテンポの良さがあって、爽快でした。
ラッセル・クロウの暴れん坊ぶりも爽快です。

後半。ご想像の通り、前半固めた伏線がホロホロとほぐれ、それぞれが結びつくイメージ。
そして結局、黒幕は誰なんだ。という大きな謎は、しっかりと解決されてるのでみてみてください。
事件だけではなく、警察内での権力、立場、出世争いもあり、なんかいろいろあった。
セリフにはならない腹黒い魂胆が見え隠れしてた。なんかドロドロしてた。

出演者それぞれが個性的なんだけど、いわゆる正統派ではなく、みんな少しずつゆがんでいる。
突っ走るバドは、正義のヒーロー刑事ではなく暴力的で友達にはなれそうにないし、
一見いやなやつのエドは、エリートで出世欲しかないようにみえるけど、実はすごく優しいし。
ジャックはフランクでマイペースだけど、いかにも腹黒そうだし。キャラがとても際立ってた。

エドを演じるラッセル・クロウの豪傑っぷりったらない。彼の辞書に「慎重な捜査」の文字はないはずだ。
デストロイ捜査。ぶちこわす、現場を荒らす、邪魔する奴は突き飛ばす。でも女には弱い。とても魅力的な人だ。
キム・ベイシンガーは娼婦役なんだけど、すごく妖艶。ケヴィン・スペイシーはもっと出演が多い方が嬉しかった。
この映画は16年も前だけど、今では皆大物になった。という感想。

最初に書いたように、こうゆう感じの映画はあまり趣味ではないんだけど、面白かった。

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The End_986 長者ヶ崎 / Nikon F3

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赤い電車に乗っかって
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「マッチスティック・メン」

リドリー・スコット監督作品。テルマ&ルイーズの流れで。
主演のニコラス・ケイジは好きな俳優の一人。演技うまいし作品にも恵まれてると思う。
古くはコンエアー。ベタにはナショナルトレジャー。コレリ大尉のマンドリンとか。
今作は潔癖症の強迫性障害のバツイチの詐欺師。難しそうな役どころだけど、ばっちり演技してた。

詐欺師で極度の潔癖症であるロイは、仕事のパートナー、フランクに相談する。フランクはロイに知り合いの精神分析医師クラインを紹介する。ロイは別れた前妻との間に娘がいる可能性を妄想していた。そしてそれは現実に14歳の少女としてロイの前に現れた。少女アンジェラは母親との仲がうまくなく、離れて暮らしていた父親をあてにした。そしてほぼ初めて会う父親との生活を好んだ。ロイは始めとまどっていたが、その苦悩はだんだん消えて行き、アンジェラが愛しい存在に変わって行く。しかしアンジェラはロイの詐欺師としての仕事にまで興味を持ちだし、ロイは困惑しながらも詐欺の方法を教えることになる。

潔癖症なのにヘビースモーカーってそんなのあるんだな。なんか正反対なことに聞こえる。
潔癖症だから部屋を神経症的に掃除してるけど、タバコ吸ってるから汚れんじゃん、と突っ込みたくなる。
それにしてもニコラス・ケイジの演技が、細かくてすごく良かった。とっても神経質な感じだった。
強迫性障害っぽく戸締まりの確認を何度もしたり、自分の中の決め事がいっぱいあったり。面白い。

出かけた後に戸締まりしたか気になって、確かめに戻る。そうゆう時だいたいちゃんと締まっている。
でもそれをきっかけにいろんな事が気になりだす。エアコン切ったかとか、トイレのライト付けっぱなしかもとか。
それも確かめに戻ると大体ちゃんとオフってる。で安心して出かけるとまた戸締まりが不安になったり。無限ループ。
少なからず皆経験あるかもしれないけど、僕は結構多いと思う。それが自宅と事務所の二箇所であるからたまにしんどい。

アリソン・ローマンという女優さんが、14歳の役なのに、当時本人は22歳だったらしい。
これはいわれないと気付かなかった。ロリ顔なんだな、小柄だからそうみえるのかアメリカ人だからか。
14歳の難しい年頃の少女と、突然現れたその娘の対応にアタフタするニコラス・ケイジ。
お互い自然に演技してて、なんかぴったりだった。とても良いコンビでした。

父親と娘の映画となるとコッポラの「somewhere」を思い出すけど、あんなスタイリッシュな映画ではない。
リドリー・スコット作品としては地味な部類に入るのかな。らしくないっちゃあらしくないかも。
怪しいな~と勘ぐってみてたけど、わりとだまされました。ほどよいどんでん返し。
終わり方も好きな方だし。切ないというか、優しい。予備知識なしで、気楽にみることをおすすめします。

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The End_985 横浜 / Nikon F3

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開いた窓は通り過ぎろ
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「ホテル・ニューハンプシャー」

ジョン・アーヴィング原作で、ナスターシャ・キンスキーが出演してる。となるとみなければならない。

1939年第二次世界大戦開戦前夜にウィン・ベリーは恋に落ちた。相手は同じホテルでアルバイトをしていた同郷のメアリー。結婚した二人は5人の親になったが、ウィンは「家族が一緒にいられる」という理由で、教員の職を辞し、ホテル経営に乗り出す。メアリーの母校を買い取って改造された「ホテル・ニューハンプシャー」はこうして誕生した。5人の子どもたちはホテルと共に成長し、様々なできごとや、青春の悩みと共に月日は流れる。しかし順調だったホテル経営も祖父の急死から、少しずつ傾き始める。

自殺や、同姓愛、近親相姦まで、とても異常なエピソードばかりなんだけど、どこか深刻じゃない。
喜劇なの?と思わせるくらいみなあっけらかんとしてて、少し不安にもなる。
ジョン・アーヴィングの小説はあまり詳しくなくて、村上春樹訳の「熊を放つ」くらいしか知らない。
小説もコメディタッチな雰囲気はあったかな?あまり違和感なかったということは映像と文章の違いかな。

100分くらいの枠に収めるには少し無理があったかもしれない。バタバタ感は否めなかった。
とても異常な話なんだけど「はいはーい、つぎつぎー!」という感じがすごくあった。
一つの建物、一つの家族で起こっる話。ドタバタ、コメディタッチ、でもシリアスな物語。。
これってみたことないけど「渡る世間は鬼ばかり」的な感じかもしれない。みたことないけど。

家族を通して波瀾に富んだ人生を生きる。または家族の死を通して生きることとはどういうことかを説く。
コメディタッチで随分軽くなっているけど、根幹にはそんなメッセージが読み取れた。なんとなく。
でもそんな大きなことを描くには身近すぎだな。直近の「テス」じゃないけど180分くらいないと難しそう。
物語にはある程度の長さが必要なものってあると思う。長いから良いという訳ではなくて。説得力の話。

ナスターシャ・キンスキーは映画出演当時、23歳なんだけど、すこし老けて見えた。
少女感は無くなってて、完全な大人の女性。それが80年代のエッセンスを含み、老けて見えた。
なんだろ、パリテキサスの時の売女感がみせる大人の女性感ではなく、なんか痛々しい感じ。
ファッションなのかな。ドメスティックな設定がそうさせたのかな。

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The End_984 古市場 / Nikon F3

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繋がっている時間
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「ヴィレッジ」

ミストの時に勘違いしてた映画ってのこれだった。
「謎の霧につつまれた村がなんだかわからないものに恐怖し、集団ヒステリックにおちいるような。
人間のメンタル面の弱さとかをついた物語かと思っていた。絶対なにか他の映画と間違ってたんだ」って書いたけど
きっとこの映画のことでした。でもこの映画、霧なんて全然出てこないしヒステリック、、?なんか曖昧な記憶。

深い森に囲まれた村には、外界から孤立し、自給自足で暮らす素朴な人たちが、皆家族のように住んでいた。村には古くから伝わる掟があった。それは「決して森の中に入ってはならない」というものであり、村人は森の中にいる怪物を「語ってはいけないもの」として恐れていた。ある日、村に薬がないことにより幼い命が失われた。それをみた無口な若者、ルシアスは年長者に対し「森を抜け町に薬を取りにいかせて欲しい」と頼んだ。しかしそれは村の掟を破ることになるので、叶えられなかった。しかし村に暮らす盲目の少女アイヴィーが、ルシアスに恋をしたことから村に異変が起こり始める。

シックスセンスのシャマラン監督。シックスセンスがああゆう映画なので、構えてみてしまう。
牧歌的な暮らしをする村の人たち。ゴシックな服装から時代を感じる。
草原で細ながーいテーブルに、一直線に並んで食べる食事。この時代設定の映画よくみるけど、少し憧れる。
日本だと流しそうめんか、手巻き寿司世界一の長さに挑戦になるのかもしれないけど。

えーと、こうゆう類の映画の感想をかくのは毎回難しいんだけど、、

シックスセンス的な、あらびっくりそうゆうこと!?的なパンチは弱かった。
だけど全体的にうまくまとまってて、細かい伏線も散りばめられてるけどちゃんと回収されてるし
でっかい伏線もきっちり回収。なんか気軽だけどうまく、優秀に納まってる映画だと思います。
なんかひっかけがあるだろ、、とは思ってたけど、やっぱり盲目というのが大きなネックだよね。

ホアキン・フェニックスがルシアス役ですが、相変わらず気持ちが悪い演技。すごく良い意味で。
エイドリアン・ブロディは、とても好きな俳優。ダージリン急行の時はどうかと思ったけど、好きです。
ブライス・ダラス・ハワードという女優さん、知らなかったけど、綺麗な人。ヒアアフターにでてた人か。
という感じで、個人的には好きな俳優が出てたので、そちらの方でもわりと楽しめた。

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The End_983 油面 / Nikon F3

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アイリッシュセッターの逆襲
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「桐野夏生 / 柔らかな頬(上)」

メタボラのあと、岩井俊二のラヴレターを挟んで、すぐに読んだ桐野夏生作品。
これ読んでるときに、現実で同じようなことが起きたのでとても驚いていた。
松本市のあれ。あの子どうなったんだろう。と思ってたら、悲しい結果になってしまっていた。
とても残念です。それにしても本当に偶然だった。こんなことってあるんだな。

カスミは、高校卒業後に家族と故郷の北海道を捨てた。しかし皮肉にもその北海道である事件が起こる。カスミは夫の友人である石山に誘われ石山の別荘を訪れた。朝の散歩の途中、少しだけ目を離した隙に娘がいなくなった。事故か、誘拐事件か、まったく情報もない状態で警察による山狩りが始まるが、娘は見つからず失踪事件として捜査が始まる。カスミは一人罪悪感を抱き、自分を責めていた。それは、カスミと石山は密かに逢い引きを重ねていて、その別荘でも関係をもっていたことによる感情だった。その後カスミは、失踪から4年たち、事件の捜査が打ち切られても一人娘を探し続けた。元刑事の内海も加わり、事件の関係者を訪ね歩く。真実というゴールははたしてあるのか。直木賞受賞作。

文章力は本当にすごくて、こんなに長い物語をぶれることなく最後まで持っていけることがすごい。
そしてメタボラの時にも書いたけど、文章をグイグイ読ませる牽引力をすごく感じる、だけど
内容が内容なだけに怖くなる。グイグイ進んで気持ち良いだけに怖くなった。
まだ上巻だけど「この物語、どうやって終わるんだろう」と不安めいた期待を持ちながら読んでいた。

とにかく入り口から暗い。子どもの失踪という、世の中のお母さん全員が感情移入しやすい題材。
これは読んでてつらい所が多々あった。いつの間にか失踪した子どもが自分の娘のような気がしてくる。
子どもどころか結婚すらしてない僕がそう思うんだから、実際子ども、特に娘がいる人にはたまんないんじゃないかな。
だけど、子どもの失踪はオプションの話。ということが分かってくるとさらに恐怖が増します。

物語には、時間によって風化してしまうものと、まったく変わらない心情が多く表現されていた。
家庭を捨てても良いと思ってしていた情事。それが原因で大切な子どもを失った母親。
一人北海道に残り娘を探していたけれど、探していたのはもしかしたら娘じゃないような気がする。
そして出てくる人全員が怪しくて、容疑者にみえてくるけど、この物語が伝えるのはそうゆうことでもない。

中盤から出てくる元刑事の内海は、僕と同年代なんだけど末期のガン患者。
抗がん剤治療どころか、病院での治療も拒み、自然に自分の死を待っている男。
この男の存在がこの物語では大きなものとなっていた。
死ぬ時期が見えた男の生き方は、とても人ごとでは済まされないものだった。

天童荒太の時にも書いたけど、ここまで死についての描写ができる作家は多くない。
多分一度死んだことがあるハズだ。じゃないと普通の人には無理だよ。
すでの下巻も読み終わっています。それは今度書くけど、なかなか一筋縄ではいかない小説でした。
桐野夏生作品おもしろいなー。でも少し違うの読みたくなってきたなー。

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The End_982 西小山 / Nikon F3

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校庭を走る夢みたいなもの
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「テルマ&ルイーズ」

ブレードランナーをみてから、少し気になってたので、リドリー・スコット監督作品をみてみようかと。
この映画の存在は知ってて、ツタヤで見かけると、どうしても脳裏に「ボニー&クライド」が浮かんでしまいます。
少し考えた後「あ、それ、俺たちに明日はない」だ。タイトルでもない。○○&○○という構成だけ。
また別の日にみかけると「ボニー&クライド、死のダンスか」となってしまう。もうややこしいのでみてみることにした。

ウェイトレスとして働くルイーズと、専業主婦のテルマは親友同士だった。ルイーズはありきたりの毎日に嫌気が差し、テルマは異常な束縛をする旦那から逃れるために、旅行の計画を立てる。夕食に立ち寄ったダイナーで、テルマは日頃のストレスを解消するかのように酒を飲み、羽目を外してしまう。バーの店員に口説かれたテルマは酔いもあり男と共に店の外に消えてしまった。心配になったルイーズは二人を探しに外にでると、テルマは男に強姦されかかっていた。

これは良い意味でも悪い意味でも90年代の映画。ノリがもう90年代。
とにかくテルマのケツの軽さに呆れる。痛々しい程の軽さ。ハメ外しすぎ、悪のりしすぎ、調子のりすぎ。
それと同じくらい登場する男性がことごとく、女性を性的な対象としてしかみていない。目がエロい。ギラギラしてる。
それは売り出し中の若かりしブラッド・ピットも同じで、素晴らしくジゴロ。どこまでもジゴロだった。

ブラピはベタですが普通に好きな俳優で「ブラピ出演ハズレなし」ジンクスもあるので、ほとんどみてる。
この時のブラピは若い。ほとばしる若さとはこのこと。ファイトクラブの時は、筋肉美に同姓の僕でも感動し、憧れた。
この映画でも裸体を披露してるんだけど、ファイトクラブの時のようなカリカリの筋肉ではなくて、なんかとにかく若い。
こんなこと書くと同性愛者に思われるかもしれんな。。あの肉体は若くても日本人には無理な感じ。とても美しいです。

話を映画に戻すと、なぜアメリカで犯罪を犯した人間はメキシコを目指すのか。メキシコには何があるのか。
という大いなる固定観念がこの映画でもみられた。無法地帯ということと、入国管理が緩いということだけなのかな。
メキシコ関連の映画、ノーカントリー、007のどれか、ロバートロドリゲス、イニャリトゥ、メキシカン、、あとなに?
全部メキシコ=犯罪がはびこる無法地帯という描かれ方。そしてマヤ文明アステカ文明という歴史遺産、気になる国だ。

物語はロードムービー感があるけど、最後カーチェイス的なアクションもするし、ラブロマンスもシリアスな過去もあり。
なんかそ、れぞれちょっとずつつまみました感が否めなかったです。それも90年代っぽくて良かったけど。
終わりは、、どうなんでしょう。ディレクターズカット的な別ラストもあるらしいけど、僕はあまり共感しなかったです。
女性二人ってのもあったかもしれない。賛否両論になるべくラストだと思います。

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The End_981 横浜 / Nikon F3

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または私は如何に心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
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「テス」

なんかフジ暴にもって行かれている感がありますが、僕の好きな女優さんランキング(というものがあるとすれば)
上位にナスターシャ・キンスキーという女優さんがいます。有名なのは、ヴィム・ベンダースの「パリ、テキサス」
僕もその映画でみて恋をした。この映画はもっと前の作品でなんと当時18歳。あどけない少女に垣間見る大人の女性。
しかーし!この映画の監督であるロマン・ポランスキーは、彼女が15歳の頃から性的関係があったという。この野郎!

ヴィクトリア朝時代のイギリスの片田舎。貧乏な家庭に育ったテスは、ある日父の家系が伯爵家だということがわかり、父親に頼まれてダーバヴィル家に親戚と名乗り、援助を頼むよう使わされる。テスは美しい女性で、ダーバヴィル家の息子アレックに見初められ、仕事を与えられる。ある祭りの夜、テスはアレックにレイプされてしまい、情婦にされてしまう。テスはその関係に耐えることが出来ず、アレックを説得し実家に戻ることにした。しかしテスはアレックの子どもを身ごもっていた。

3時間くらいの長い映画なので、あらすじに書いたことはほんの冒頭にすぎない。
この後テスには、いろんなことが起こる。それは決して幸せなものではないけど、それでもテスは強く生きる。
といったら綺麗に聞こえるかも知れないけれど、わりと泥臭く、生きる。幸福が降りてきそうになっても上手くいかない。
不幸の名の下に生まれてきた感は否めない感じだった。でも小公女セーラ的な可哀想感はない。

悪役のポジションになるアレックだけど、僕はそんなに悪役に見えなかった。
美しいテスに惚れ込んだのは本心だろうし、伯爵家から実家への便宜もはかった訳で、そんなに悪くない気がする。
ただ自分の気持ちを素直に出せず、あげくにはパワープレイになり、しかも無理矢理。というやり方がいけないだけで。
そらテスも腹立てて実家に帰るわ。ラヴレターの時に書いたけど不器用さとは種類が異なる。悪い不器用さ。

それからテスにも本気で好きだと思える人との出会いがある。
しかしそれも上手く行きそうでかない。不幸の名の下に生まれて来た女性なのでしょうがない。
泥臭く生きる美女という画はどこか悲しげだけど、いかんせんテスが美しすぎる。不幸でもしょうがない気もしてくる。
映画をみてる間、僕はずっとテスに恋をしていた。そのくらい美女。とんでもなく美女。しょうがなくなる美女。

この物語には曰くがついていて、ポランスキーの奥さんシャロン・テートはカルト教団?に惨殺されている。
しかもポランスキーの子どもを妊娠してて、8か月だった。この物語は、奥さんに映画化を勧められていたそうだ。
オープニングに「for Sharon シャロンに捧ぐ」と出るのもその為。奥さんのために撮ったのもあったのかな。。
しかーし!そんな映画の主演と性的関係にあるという、それはそれ、これはこれという、器用なリア充野郎は否めない。

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The End_980 松田さん家 / Nikon D600

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個人的な日誌の中身
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「真・女神転生4」

ペルソナ4G以降、アトラスゲームにどっぷりですが、今回も引き続きアトラスゲームです。
しかもアトラスといえば!の女神転生。そして僕は女神転生シリーズ、初体験。
ペルソナの、明るいけどエグい感じがすごく好きだったけど、もう比じゃないくらいのエグさ。
それが嫌かと思ったけど。嫌いじゃなかった。グロも、ビジュアルでストレートに出なければ大丈夫みたい。

グレゴリ歴1492年「東のミカド国」という国に住む主人公は、ある日二人の少年に出会う奇妙な夢を見た。その日、主人公は幼馴染とともにミカド国に伝わる「ガントレットの儀式」を受け合格し、サムライの一員となる。主人公と同じくサムライになった者の中には、夢で会った二人の少年の姿があった。そして主人公の日常は非日常へと大きく変わっていく。

いや、これはなんだかすごいゲームでした。女神転生の魅力が分かってしまった。
ペルソナがライトユーザー向けと言われてる意味も良く分かった。
僕なんかが語れないくらい、深いものかもしれない。でも超簡単に言うと
「どっちも悪いけど、どっちも悪くない、そもそも善し悪しってなに」という感じか。。

東のミカド国に属するサムライの少年、ヨナタン、ワルター、イザボーという仲間と黒きサムライの存在。
そして東京に住む人たち。阿修羅会、ガイア教団、謎の女子高生、そしてそして、天使と悪魔。
皆、暴力的で、下品で、自分勝手で、なにが良くてなにが悪いのか分からなくなる。そもそもそんな基準すらない。
これ人間の真意をついてて怖くなる。きれい事の無い世界。その中でどう行動するか。

物語の中で自分が思う選択求められることが多々ある。その選択次第でエンディングが変わる。
女神転生シリーズにはお決まりのことみたいなんだけど、選択肢によってカオス、ニュートラル、ロウの3種類。
僕はカオスルートでした。自分の力を信じ、その力のありなしにより評価される、極めて弱肉強食な世界。
心の底ではそう思ってる自分がいるのかな。30代になってギラギラ感が無くなったとよく言われるんだけどな。

サムライの試験はガントレットを身につけると、それが反応するかしないか。という単純なものなんだけど
無事反応した者はサムライと認められ「ナラク」からわき出てくる悪魔を退治する使命を与えられる。
そのガントレットに入ってるインターフェースに「バロウズ」という女性を擬した存在がある。
これがまたツボで、僕はそのバロウズと意思疎通を図る気持ちよさみたいなものを感じてしまった。

システムはペルソナとほぼ同じだし(ペルソナが女神転生と同じ)悪魔合成も同じノリでできた。
「キチジョウジ村」とか「シンジュク」という地名が出てくるのも女神転生お決まりのあれかもしれないけど
「旗の台」まで出てきて、近所だから複雑。。都心に住んでない人はピンとくるのかな?
最後までやりきって思う事は、女神転生、好きだけどそうそう何回もできないな。です。とにかく重い。

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The End_979 古市場 / Nikon D600

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骨張った手
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「犬神家の一族」

岩井俊二祭りで最後にみた「市川崑物語」に影響されて、とりあえずベタに犬神家をみてみよう。
そう思って借りにいったんだけど、間違ってリメイク版借りてしまった。
だけど監督は変わらず市川崑だし、主演、金田一耕助役も石坂浩二だし、いいかと。
しかしあれね、石坂浩二って若い頃特にだけど、村上淳にそっくりよね!

犬神財閥の創始者である犬神左兵衛は、腹違いの3人の娘と、その息子たち。そして左兵衛の恩人の孫娘である珠世を残しこの世を去った。左兵衛は、多額の遺産が元で一族の争いが起こることが予期できたので、弁護士の若林立ち会いのもと遺書を作成していた。その遺書は血族全員が揃わないと開封できないことになっていたが、長女、松子の息子である左清は復員しておらず、開封することができなかった。その二週間後、不自然にも左清が戻る知らせを受け、松子は迎えに行く事になる。戻った左清は、戦禍での大けがを隠すため顔全体を奇妙な白いゴムマスクで覆っていた。面々が揃ったことで遺書は開封されるが、遺産相続はとても不自然な内容になっていて、皆不満を上げていた。そんな中残虐な殺人事件が起こる。

僕はなぜか小学生の頃から横溝正史の金田一シリーズを読んでいる変な子どもでした。
「犬神家」はもちろん「獄門島」「八つ墓村」「悪魔の手毬唄」「病院坂の首縊りの家」から始まり
「夜歩く」という隠れた名作まで。今考えても変な子どもだ。しかし当時、映像でもみたこの物語は
子どもには文章以上の恐怖映像となり、当時の僕は寝られない夜を過ごしていた、はずだ。

このリメイク版は初めて見るんだけど、さすが市川崑。と言えるほど僕はこの監督に詳しくない。
でも「市川崑物語」で岩井俊二が語っていた市川崑の手法がいろいろ出てて、面白かった。特にカメラ割り。
人の表情を抜きまくる表現は意識してみてると、楳図かずおみたいだけど、すごい効果的だった。
そして光の使い方。目元以外影で覆われてる表現は実際ありえないけど、確かに不気味でおしっこ漏れそうになる。

そして犬神家の物語が特にそうさせるんだろうけど「女」の描写がまたこれすごい。
僕はふだん異性のことを「女性」というけど、ここではあえて「女」と言おう。
妖艶で、エロくて、美しい。そして腹黒くて、ドロドロしてて、意地汚い。女ってこわいー。
あんまり知らないけど、松嶋菜々子の悲しげな美しさがすごい。あの人、笑ってない方がいいな。

そしてそして、深田恭子の演技が酷い。学芸会かと思った。
煩わしいし、気が利かないし、空気も読まない。でも明るく笑っててかわいい。これも「女」か。
よく血はダメだと言う僕もこの映画は平気でした。気持ち悪いし不気味だけど大丈夫。。
なんでだろう、横溝正史だからかな。江戸川乱歩も平気だな、日本のは大丈夫なのかな。

映画自体は何度もみてるのでそんなにビックリ感はなかったけど
この歳になっても犬神家を代表する「湖に刺さった逆さ死体」や「戦慄の菊人形」はやっぱり不気味。
そして珠世(松嶋菜々子)の内に秘めた気持ちは、なかなか心を打ったのである。
それとやっぱり女のドロドロ!こんなに面白い人間模様はなかなかないのでは、と改めて思う所存であります。

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The End_978 古市場 / Nikon D600

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冷血、睡眠、回帰
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「ディナーラッシュ」

ものすごくプッシュされたのでみてみた。
監督も俳優もなーんにも知らないし、前情報もあらすじもなーんにもしらないでみてみた。

冬のニューヨーク。繁盛店であるイタリアンレストラン「ジジーノ」のオーナー、ルイは、長年のビジネスパートナーであるエンリコがギャングに殺されたことで心を痛めていた。それに後押しするようにルイの息子ウードは、イタリア帰りで話題の天才シェフとメディアに持ち上げられ、鼻を高くしていて、ルイを悩ませていた。店でチーフシェフを任されていたウードは、伝統的な家庭料理として愛されてきたジジーノをおしゃれなトレンディレストランに変えようとしていた。やがて夜が訪れ、厨房も客席も慌ただしくなる「ディナーラッシュ」の時間になる。その客の中に、地元で幅をきかせるギャング、二人が客としてやって来た。

一晩の出来事をいろんな人の視線で追いかける群像劇。
オーナーのルイ、息子のウード、殺されたエンリコ、地元のギャング2人だけではなく
ギャンブル狂いの天才肌ダンカン、二人の男性に言い寄られるウェイトレス、博学なバーテンダーの青年など
主役も脇役もそれぞれ個性的に主張してて、最初はなんだかよく分からない、ラッシュな感じが出てた。

前半はちょっと三谷幸喜感もあったけど、わりとシリアス路線に収束していったので良かった。
狭く、人も多い、ラッシュなシーンだけど、カメラワークがうまくて、全然見づらくなかった。
ラッシュの中に親子の葛藤や、復讐心や、恋愛とかいろいろ混ざってるけど、そこもごちゃごちゃしないで、簡潔です。
一つの店で一夜の物語で、あまりシーンに動きがないので、ちょっと途中に飽きがきたけど。

でもちょっとオチは良さがよく分からなかったな。
特に伏線がある訳ではないので「そうだったのか!」というビックリ感もなかった。
いちおうサスペンスくくりなので、もう少し欲しかったかな。ふーん、的な具合です。
ま、でもこのわかりやすさと、カジュアル感がいいんだろうな、たぶんね。

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The End_977 渋谷 / Nikon D600

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GOOD LUCK
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番犬その3
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「黄金を抱いて翔べ」

みなきゃなと思ってたけど、なかなか手が伸びなかった作品。
旧作になってたのでみてみた。高村薫女史、原作の映画化。監督は井筒和幸。
この監督の映画って「パッチギ!」しかみたことないのであまり知りません。
キャストは浅野忠信、妻夫木聡、西田敏行、とか。好きな人がわりと多かったので。

過激派への調達屋をしていた幸田は、二十年以上ぶりに訪れた大阪で大学時代の友人、北川にある計画を持ちかけられる。それは大手銀行の地下にある240億円相当の金塊を強奪するという計画だった。エンジニアの野田、エレベーター技師のじいちゃん、爆弾に詳しい元北朝鮮のスパイ、モモ。そして自殺未遂常習者の北川の弟、春樹を仲間に入れて、男6人の壮大な計画が始まる。が。彼ら6人の意外な過去や、裏切り者の存在が浮上してくる中、計画は実行される。

最初はわりとワクワクするんだけど、ひどい中だるみがあった。ひどかった。寝るところだった。
それ乗り越えればラストまでさらっと行けます。そして総評としては面白かったです。
井筒和幸って人の映画はあまりみたことがないんだけど、極端に暗い絵を撮るのね。
この映画だけかもしれないけど、たまに暗すぎてなにがどうなってるんだか分からない所はあった。

そして細かい所だけど、設定で気になる所が割と多い。そんな指紋ベタベタつけていいのかよ、とか
携帯の電池が都合良く切れてたり、防犯カメラの存在をまったく気にしてなかったり。それバレバレでしょ、って。
報知器のレスポンスもひどく都合が良い。現実的にはありえない段取りで完全犯罪をしようとしている。
緻密な計画立ててる割には、プラスチック爆弾で大爆発とかさせてる所は笑った。繊細なんだか大胆なんだかわからん。

この手の犯罪モノにありがちな細々した編集じゃなく、淡々とした感じ。浅野忠信は相変わらずの独特な演技。
そして妻夫木聡。って、わりと好きな俳優さんです。作品に恵まれてる感がある。
それと北朝鮮スパイのモモ役。この韓国の人がすごく良かった。汗かきすぎだけど。
途中からでてくる末永ってゆう奴。怖いんだけど、この人の存在があんまりよく分からなかった。

総評。みても損はないけど、みなくてもよかったかも!

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The End_975 羽根木 / Nikon D600

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会話のインターフェイス
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「岩井俊二 / ラヴレター」

目黒シネマの岩井俊二祭りが無事に終わった頃、なんとなく岩井俊二の小説読みたくなってしまった。
桐野夏生のメタボラがなかなか長くて、いい感じに疲労したので、そのメンテナンスも兼ねて。
岩井俊二祭りでは「ラヴレター」と「花とアリス」だけみなかったので、この小説にした。
昔読んだけど内容は忘れてるな。ってこともで。短いし。すぐ読めちゃいました。

雪山で死んだ婚約者、藤井樹。渡辺博子は彼の三回忌に、彼が中学時代に住んでいた小樽の住所に手紙を送った。「拝啓、藤井樹様。お元気ですか?私は元気です」と。その住所は立ち退きの対象になっていて、今では国道の真ん中になっているはずだった。博子はそれを分かって送った手紙だったが、その住所から返事の手紙がくる。博子は驚きながらも再び手紙を書き、死んだはずの藤井樹との奇妙な文通が始まる。

この作品は本当にシンプルに、良い話だと思う。好きです、シンプルにそう思います。
設定とか、手紙が返ってきた理由とかに「そんなことあるかいっ!」と突っ込みはありますが、すごく良い話。
いなくなってしまった人を想う、残された人の気持ち。心の整理(とても良い意味での)だったり
少しその頃の僕の心情と相まって、感情移入してしまう所もあり、必要以上に感動してしまった。必要以上に感動?

大人になってから甦る初恋の記憶。って設定がこんなに心情グラグラくるとは思わなかった。
しかも当の本人はもうこの世にいない。天国でほくそ笑んでるに違いない。と僕は思う。
いなくなってからもまだこんなに思い出してくれる人がいる、藤井樹という男は幸せ者だな。
藤井樹という人は、不器用で、あまり多くを語らず、少し茶目っ気がある男性。完全に高倉健だ。そして僕と正反対だ。

タイトルの「ラヴレター」返事が来るはずのない人からの返信、そして文通。各々が故人の思い出にふけった文章。
それがラヴレターなのかなと思ったけど違うみたい。あまり書かないけど、図書カードの件はもう泣いてしまってダメ。
ベタといえばベタな話なのよ?だけど岩井俊二って映画も映像も良いけど、文才もあるわなー。と改めて思う。
感動する仕掛けがうまくて、時が経ち届いたこと、その時にはもうその人は居ないこと。もう泣いてしまってダメ。

僕の話だけど、伝えるつもりなく書いたものが、なにかの不可抗力で伝わればいいなと思ったりすること、あった。
余計なお世話好きの無神経な野郎の出現をどこかで待っていた。でもそんな人はいないので相手に届くことはなかった。
そして現在に至るんだけど、残酷なまでに不器用で、無頓着だった愛すべきあの頃の自分に言いたい。
届かない方がいいこともあるんだぜ。と。止まったままの時間の方が良いこともあるんだぜ。ってね。

帯の「想い出にもう一度だけ恋をした」というコピーがまた秀逸。もうギュンギュンきました。
この物語、映画だと中山美穂の一人二役。ちょっと画も浮かんでこないからもう一度みてみようかと思ってる。

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The End_974 西小山 / Nikon D600

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低気圧の到来
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「ミスト」

スティーブン・キング原作。昔予告をみて、なんとなくみたいと思っていた作品。と思っていたんだ。

嵐が町を襲った。湖のほとりに住むデヴィッドは妻と息子と地下室に避難した。翌日、嘘のように嵐は過ぎ去っていたが、自宅の一階を半壊させていた。デヴィッドは息子を連れて近所のスーパーマーケットに買い出しに行くが、同時に大量の霧が発生し町を包もうとしていた。マーケットには生活用品を買いに来た町民であふれていた。外ではなぜか軍人が行き来し、軍事車両がサイレンを鳴らして疾走していた。デヴィッドはあまり気にとめてなかったが、店内に鼻血をだした男が駆け込んでくる「霧の中になにかがいる!」と叫びながら。

たぶん僕は勘違いをしていたんだろう。こんな映画僕がみたいと思うわけがない。
もっとこう、謎の霧につつまれた村がなんだかわからないものに恐怖し、集団ヒステリックにおちいるような。
人間のメンタル面の弱さとかを表現した物語かと思っていた。絶対なにか他の映画と間違ってたんだ。
だって、もろエイリアン的なビジュアルのモンスター出てくるし!血いっぱいでるし、グロいし!

そろそろ浸透してきてるはずですが、僕はホラー映画が嫌いだ。大嫌いだ。
怖かったりビックリするのが楽しいじゃない、という人もいるけど、まったく理解できない。
物語に関係なく、あのビックリさせてなんぼな感じが嫌なんだ。まったくナンセンスだ。
単純に怖いからなんだけど。エイリアン的なのも、なにがいいんだか全く分からん。

それでも一度みはじめた映画は最後までみる。という自分ルールから頑張って最後までみました。
怖かったー。血ドバドバでてたわ。二度とみたくない。けど、怖いところはおいといて、それなりに面白い描写もあった。
マーケット内に閉じ込められた時の人々は争い、意見も分かれ対立する。原因はどこにでもある日常的なもの。
外面良く、穏やかに生きている人でも醜い気持ちが奥底に隠れていて、極限状態になるとどんどん表に出てくる、本心が。

人間って腹黒いわー。自分さえ良ければいいんだろうなー。血いっぱい出てるなー。という感想。
ラストは衝撃的というか、賛否両論あるんだろうけど、虚脱感でいえば結構上位にランクインするかもしれない。
僕みたいに怖いのとか血とかダメじゃなければ、面白い映画なのかもしれないです。
僕は絶対にもうみないけどね!怖いからね!

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The End_973 古市場 / Nikon F3

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肉体の苦痛の多寡
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「松本大洋 / ナンバー・ファイブ」

子どもの頃から大好きだった漫画というもの。だけど、気付けば読む機会が少なくなってた。
大人になるってやつは、こうやっていつのまにか選んでて、やらなくなっていくことなのかな。時間のせいにして。
少し思い出すと「進み方が遅いから終わってから一気読みしよう」と思ってた作品が結構あって。
いい機会だからと読んでみた。そのうちの一つ。ナンバーファイブ。

遠い未来の話。人類が犯した行為により生命の生態系は崩れ、世界は崩壊の危機を迎えようとしていた。その荒れた世界を救うため、9人で構成された「虹組」を中心とした「国際平和隊」が結成される。それぞれが特殊な能力を持つ彼らの活躍により、再び世界に平和が訪れた、かに見えた。ある日虹組のメンバーである「ナンバー吾(ファイブ)」が一人の女性を誘拐し逃亡した。女の名前はマトリョーシカ。虹組の他のメンバーは、メンツを保つためにナンバー吾を捉えるよう命令を受け、刺客となりナンバー吾の後を追いかける。

大好きな松本大洋作品だけど、なんだか話が長くなりそうなので、途中で読むのやめていた。
それでも最終巻は2005年に出てた。。9年前か。時間というのは相変わらず暴力的に流れています。
松本大洋作品お決まりの、どこか真理を理解してるキャラは相変わらず出てくる。ピンポンの「ドラゴン」みたいなの。
でも今作の激しい戦闘シーンの描写とか、なんか他の松本大洋作品と異質な感じがする。

一番ファンタジー感はあるかもしれないな。砂漠の描写とか、メビウスのアルザック・ラプソディっぽい。
それでもやっぱり最終的に哲学的なアプローチになっていくのが、松本大洋っぽくてすごく好きだった。
「ナンバー死(フォー)」の存在とか、哲学的すぎてかなりツボ。もちろん「ナンバー王(ワン)」も。
平和というものを題材にしているけど、変にヒーローめいてないし、全体的にチープになってない感じが良かったです。

今刊行中の「Sunny」は新刊が出たら買ってるけど、まだ未読。完結後にいっき読みしよう。
昨今のコミック業界はどんな感じになってるんだろうか。まったくアンテナ広げてない僕だけど、少し気になる。

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The End_972 羽根木 / Nikon F3

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