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レンブラントへの手紙
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今年初めての映画館。お世話になりっぱなしの早稲田松竹。今年も足繁く通う事になりそうです。
高田馬場までもちろん自転車でいくんだが、まったく遠いと感じなくなってる自分が少し怖い。
映画館はやっぱり好きなんだけど今日は目の前の席が若いアベック。男子が座高が高いのか頭がすごく出てた。
それだけでも邪魔なのに頭がフラフラ落ち着かない。後半腕あげてのびとかしちゃったり。すごく気になっちゃった。

そんで、今回の二本立て一本目は、ダニー・ボイル監督作品の「トランス」
正直、前情報ゼロでみました。どんな話かすらわからん。ダニー・ボイルという事だけしか知らんかった。
一応二本目の「クロニクル」目的で行ったので、対して期待もしてなかった。。だからかもしれないけど、面白かった!
ダニー・ボイルっぽい映画というか、もうロンドンっぽい映画だった。音楽も含め。もちろんそれは嫌いではないです。

ゴヤの傑作「魔女たちの飛翔」が出品されるオークション会場で、競売の末約40億円という超高額で落札された瞬間、会場内が催涙ガス弾で襲われた。競売人のサイモンはマニュアル通り絵画をバックに入れ裏口にまわるが、ギャングのリーダー、フランクが待ち構えていた。実はサイモンもギャングの仲間で、計画ではここでフランクに絵画を渡す予定だったが、サイモンは裏切りをはかる。怒ったフランクはサイモンを殴り絵画を奪い逃亡する。サイモンはこの時のショックで記憶喪失になってしまう。

前半なんかもう、ぐっちゃんぐっちゃんだった!サイキック映画とゆうより深層心理メンタル映画でした。
インセプションの「夢」とも違う、なんだろ、催眠的トランス、か。すごく不安定な恐怖感。。
フィジカルホラーは無理だけど(そうゆう言い方で合ってるかわかりませんが)こうゆうホラーはすごく好きなんだよな。
しかし絵画の絡め方がいまいち理解できなかった。エンドロールでも出てたけどあれはなんかメッセージがあったのかな?

意味深な表現、撮り方、セリフ、現実と非現実の曖昧さ、断片的なカット。全部ダニー・ボイル臭がすんごく強かった。
つっても僕「トレインスポッティング」と「ビーチ」と「スラムドッグ$ミリオネア」しか知らないんだけどね!
終盤の、今まで出てた断片的なヒントのまとめ方は、なかなか気持ち良いものがありました。スッキリ!
ラストに向けてターミネーターを見てる感覚におちいったのは僕だけだろうか。。

メンタルミステリー感、アクション性、エンターテインメント性、物語性、どれもバランス良くたのしめました。
青い絵がすごくいい。すごくいい。音楽も相変わらずUNKLEやMOBYとか、色んな意味でロンドンだった。
催眠療法士役のロザリオ・ドーソンという女優さんがすごく良かったです。
スパイク・リーの「25時」とかこないだみた「イーグル・アイ」にも出てたらしいが、まったく覚えがない。

人は自分自身にも秘密を作る。それを忘れると呼ぶ。

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The End_894 赤坂 / Nikon F3

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モントーク岬の夢
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「奥田英朗 / 邪魔(上)」

前に「最悪」というこの人の本を読んですごく面白かった。そん時にいろいろ掘って買っといた作品。
なんとなく今まで手に取らなかったんですが「永遠の仔」以来「新世界より」など長い物語を読むテンションになってる。
この本はべらぼうに長いものではないけど、一応上下巻あるのでこのテンションのうちにと読み出した。
長い物語。良いんです。そういうテンションの時って割とあって。そうゆう自分は嫌いじゃないです。

東京郊外に住む34歳の主婦、恭子はサラリーマンの夫と子どもたちと、平凡だが幸せな生活を送っていた。しかしある日夫の勤務先で起こった放火事件から、彼女の安定した幸福は揺らぎ始める。「放火した犯人はもしかしたら夫ではないのか?」そう思い込みだす彼女はパート先のスーパーにまで不満を持ち出す。そしてある女性活動家に声をかけられる、、、。そしてもう一人、36歳刑事の九野は7年前に妻を事故で亡くし、それ以来不眠症になっていた。自分と同じく、夫にも娘にも先だたれ、ひとり孤独に生きる義母を、ある意味心の支えにし職務に没頭していた。しかし放火事件の調査をしていくうちに恭子の夫を疑いだす事になり。。

これね、前半の100Pがすごくだるかった。全然進まなかった。
登場人物が多いくせにそれぞれが個性的なキャラで。。細かい設定の説明が割と長く続くので多少嫌になる。
だけど、その山を越えればもう一直線に滑り降りていくように、もうページが進む進む。
なかでも九野刑事の心の闇については、感情移入しすぎて人ごとじゃないような気さえしてきた。

こう見えて刑事物って苦手な分野だったりする。それでも最近は前より読むようになったかな。
この小説も前半は刑事小説感も結構あって嫌になったのかもしれないな。。
刑事コロンボとかフレンチコネクション的なのは大丈夫だけど、誉田 哲也とか島田荘司とかになるともう駄目。
なんでだかわからないけど昔からそうみたい。夕方のドラマの再放送で刑事貴族とかやってるのすごく嫌だった。

中盤からは主婦のテンパリ具合に心から心配になる。そんな臨場感。
そういえば「最悪」の時もそうだった。パニクって冷静な判断ができない登場人物の言動にヒヤヒヤもした。
今回もそんな感じでした。焦ってパニクってる中年の女性がありありと表現されてて、しかもそれが痛々しくて。。
九野のメンタル表現もなかなかのツボでした。この小説、下巻ももう読み終わってるけど、面白かった。それはまた。

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The End_893 渋谷 / Nikon F3

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リリータという名前
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「グレムリン」

これも正月に甥っ子にみせようとDVD持っていったんだけど、、
思ってた以上にグロくって、、僕はグロ苦手なんだがとりあえずの所は大人なんで大丈夫なはず。
だけど小学校3年生にはまだ少し早いというか、なんかトラウマになられても困るの途中で強制終了しました。
将来これが原因でサ○コ野郎になられてもあれなので。。帰ってから自宅で一人でみました。そして怖かった!

発明家のランドはチャイナタウンで見つけた動物「モグワイ」を、息子のビリーへのクリスマスプレゼントにしようと購入した。モグワイは「水に濡らさない」「太陽光線に当てない」「真夜中過ぎに餌を与えない」という3っのことを守るように言われていた。しかしビリーの友人であるピート少年があやまって水をかけてしまう。するとモグワイの体から泡がたち、膨張し、卵が弾けとんだ。その卵からは新たなモグワイが5匹誕生する。その中の頭が白いストライプには明らかな敵意があった。。

こんなにグロい。というか痛い映画だったっけ?という率直な感想。
最後にみたのはたぶん中学生か高校生か。。だと思うけど、結構な内容でした。
良い意味でも悪い意味でも80年代の映画だ。製作総指揮はスピルバーグで当時からその力は大きかったはず。
SFめいた表現はあるけどETとはまったく違う。それは全体的にヒステリックな雰囲気が漂ってるからかな。

とにかくネバネバドロドロ志向で、気持ち悪い表現が多い。
細かくは書かないけど、ジュースになったり、電子レンジとか、ミキサーとか、さ!
先端恐怖症の僕にはみれないシーンも多かった。先端というかもう刃物でだめなのね、僕。
そうゆう表現がスピルバーグなのに珍しいよな。と今になってみてみると思うのです。

しかしこの映画。グレムリンは人間の都合で消されてしまうけど、なんにも悪くない気がする。
確かに攻撃的で人間に危害を加えるけど、増殖するのは種の保存上当然の行動だし、排除されそうになれば抵抗もする。
気持ち悪い、または怖いビジュアル=悪。的なものがすごく露骨にでてる映画だと思った。
子どもの頃にはそんな事考えもしなかったけど!

ちなみにピート少年役はコリー・フェルドマン。グーニーズのマウス役。
すぐ前にみた映画に出てたからなんか不思議な感覚だった。
スタンド・バイ・ミーにも出てたな。。その後大麻やヘロイン依存に陥る。
典型的なアメリカの子役の行く末。現在42歳。時が経つのは早いものです。

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The End_892 渋谷 / Nikon F3

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ヒアルロン酸Na
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「ONE PIECE FILM Z」

今回の正月休みが長くなった理由の一つに「甥っ子あし痛いわんわん事件」というのがありました。
新年の2日には姉夫婦は栃木県の佐野に行きます。それにあわせて僕も自宅に帰るのがセオリーなんだけど、
今年は年末から甥っ子が、脚が痛いとずっと言ってた。それはどんどん悪化して救急に行っても原因不明。
謎の発熱&夜になると漫画のようにおーいおいと泣き出す始末。しかし佐野に行かない訳にも行かない。。

という事で僕が残り甥っ子の面倒をみるという事になった。面倒=遊んでやるという事だけど。
いつも怒られる親がいない。。という事でせっかくだから「いつもならできない事をしよう」という流れになった。
好き放題お菓子食べたり、気の向くままだらけてみたり、布団をぐしゃぐしゃにしてみたり、机の上で寝てみたり。
人生にはそうゆう時期が必要なんだという事を教えてみた。といったら大げさだな。

そのだらけきった生活の中で、時間もあるしとりあえず映画みよう。といってこの映画をみてみた。
ONE PIECE熱は僕の中ではものすごく覚めてしまって、今では映画はもとよりジャンプも読んでない。
単行本は全巻持っているので最新刊が出たときには義務感にさなまれ、とりあえずで買ってるくらいだ。
そう、完全にブームは終わっているのだ。でも子どもとみるにはちょうどいいし、こうゆう機会ないとみないしで。

んでみてみた感想は、割と面白かった!です。
アニメのワンピがすごくすごく苦手でみた事はない。だから映画もみてなかった。声が苦手で、、。絵も。
でも「STRONG WORLD」は尾田栄一郎監修なのでとりあえずみてみたら、本気でガッカリした記憶がある。
DVD買ってまでみたのに、すぐ友達にあげちゃったくらいガッカリだった。それに比べれば今作はまだ面白かった。

でもどこか煮え切らない。漫画では描かれてないエピソードが描かれてたりしてるけど、いまいち話が魅力的じゃない。
というかルフィ負け過ぎだよな。負けて挑んでまた負けて、最後はなんとか押し切るけど勝ち方もなんか派手さがない。
こうゆうの前にもあったな、ってクロコダイルだ。あの時もいっぱい負けてたけど、アラバスタ編は本気で面白かった。
なにが違うんだ?と思ったら、ビビとかペルとかカルー隊長とかいろいろあるけど、一番はクロコダイルの悪党っぷりだ。

FILM Zにでてくる悪役は、いちおう悪役なんだけどそこまでの悪ではない。
ディランの言葉をかりれば「僕から見れば僕が正しい、君から見れば君が正しい」海賊と海軍の関係みたいなもんだ。
ドフラミンゴが言う通り「勝った方が正義」なんでしょう。それはそれで悪くないんだけど、なんかぬるいのだ。
だけどクロコダイルの悪党っぷりはすごかった。あの頃は王下七武海のポジションは今よりも神格化されていたし。

そうゆう「悪」に対して、仲間が一丸となって戦うシンプルなものが好きみたいだ。
アラバスタだけで言えば、そのシンプルさにいろんな人の想いがうまくまとまってた気がする。
最後もばっちり決まってたしなあ。。もう一回読みたい。つーか今ジャンプはドフラミンゴ編やってんだよな。
シャボンティ、パンクハザードが最高につまらなかったけど、今回は面白いらしい。。でも単行本全部そろったらいいや。

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The End_891 代官山 / Nikon F3
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充血した眼
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「グーニーズ」

今年一発目にみた映画。お正月に実家で甥っ子と一緒にみた。
小学校3年生なのでもう理解できるかな、と思って。
もちろん僕は大好きな映画だけど、なかなかみなおすという機会がなくて。
こうゆう時に子どもって便利だ、きっかけになるという意味で。

わざわざあらすじを書くまでもないと思うけど。念のため。オレゴン州に住む13歳のマイキーは自宅で兄のブランドとくすぶっていた。それは親が抱えた借金の為に明朝家を出なくてはならなかったから。マイキーは兄と気の合う男友達3人で「グーニーズ」と名乗りいつも遊んでいた。そんな彼らは屋根裏部屋で古地図を見つける。書いてあったスペイン語を解読すると「片眼の海賊ウィリー」が隠した財宝の場所を示す地図という事が分かった。彼らと女友達二人を加え、家の借金を返す為に宝探しに出かける彼らだったが、古いレストランで警察から脱獄したフラテリ一家に遭遇してしまう。

この年齢になってみてもドキドキしたなー。設定上のつっこみはいろいろあったけど。
「この場所から100歩の場所」というものすごくアバウトな指示。100歩ってすぐそこだよな。。とか。
そして洞窟のセットのチープさ!デジタルリマスターにより色んなアラが出てきてた。
粗いからこその良い意味での雰囲気ってあるよな。FFのドット絵とかも、、しかし!そんな事はどうでもいいのです!

マイキーはもちろん、調子者のマウス、食いしん坊のチャンク、発明家のデータ。そして兄のブランド。
ブランドに恋心を寄せるアンディと友達のステフ。地下に拘束されてるスロースも。全員が個性豊かで魅力的なんだ。
そしてこの子ども心くすぐる冒険の設定。30過ぎてみてもまだドキドキした自分が嬉しかったです。
この頃のアメリカ映画の良いところを凝縮した映画だと思う。これだけでスピルバーグの偉大さを痛感します。

その愛すべきグーニーズの面々の中でも一番好きなのは、間違いなくチャンクです。
ドジで弱虫でのろまで臆病者でずっと喋ってるデブだけど、優しい心の持ち主なのだ。
スロースの心を掴んでピンチに登場するところなんか大好きすぎて死にそうになる。
宝探し、洞窟の探検、迫る悪役、初恋の行方、全てにおいてすばらしいとおもいます。

チアリーディング部のアンディはミニスカートを洞窟の中でもミニスカートをはいている。
終盤はピンチの連続で恥じらいを忘れ、あからさまなパンチラが多すぎて恥ずかしかった。
小学校3年生の目にはどう映ったのか、、おじさんはハラハラしてしまったよ。
少年よ!まだきみには早い!

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The End_890 目黒 / Nikon D600

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ザーザー降りの夜
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「貴志祐介 / 新世界より(下)」

で最後。もう書いちゃおう。

中巻の終わりで、彼ら5人の関係は大きく動く事になる。
仲間で一番の秀才、瞬の存在。同姓を越えた愛情を持つ真理亜の決断。劣等感から自分を責め出す守。
そして主人公の早季と覚の関係もいろいろ、いろいろ動きだす。
いわゆる学園モノの延長だった上巻から、一気にミステリー&戦争アクションに変わって行った。

上中下巻に別れたレビューなので、どうしてもネタバレになってます。
未読の人は以下の文章は読まない方が良いと思います。
結果的にはすごい面白い小説なのでなおさら!

夏祭りの夜に起きた惨事。バケネズミの襲来によって悲鳴と怒声に包まれた神栖66町。町を抜け出して早季と覚は廃病院に向かうが、そこで遭遇したものは身の毛もよだつ存在だった。選ばれし者は自分に与えられた使命を遂行するべく、1000年前に首都だった東京に向かう事になり、早季は極限状態での選択を迫られる。大長編の最後を締めくくる最終巻。

下巻だけ100P多いと書いたけど、気にならないほどのスピードで読み切った。
ページをめくる手は止まらなかった。垣根涼介のワイルドソウルと比べても劣らない作品でした。
前半のバケネズミの襲撃、廃病院での件、神栖66町までの道程、そして東京編と。
てんこもりすぎてもう発狂するとこでした。夜を徹して本を読んだのはすごく久しぶりな事です。

完全にネタバレですが、早季が廃病院で出会ったのは「悪鬼」中間で過去に現れた悪鬼の描写があって
それはもう戦慄が走る恐怖感だった。でも過去の事。で今回は実際に悪鬼に遭遇してるのだ。これだけで恐怖極まりない。
あの緊迫感の描写はすごいと思います。著者の別作品をみると「悪の教典」など映画化されてるものがあって。
予告みて絶対みない映画に分けられてますが(グロ無理だから)本なら読んでみても良いかも。はまってるな僕。

と、大絶賛してる感じですが、少し腑に落ちない点も多かった。
広げた伏線は全て回収されてないく、少し無理矢理感があったように思う。
スピード溢れる展開は気持ちいいんだけど、それでごまかされてる感もあった。
意味深な書き方して後で分かるのかな?と思ったらそのまま終了的な。僕が見落としてるだけかもしれませんが。

下巻だけを思い出すと、ガダラの豚と、AKIRAと、ドラゴンヘッドと、漂流教室が合わさったような話だった。
僕個人の意見としては、終わり方に少し違和感はあった。少しあっけなく釈然としない気持ちがあったのだ。
すぽーん!おしまい!気持ちいいー!という感じではなかった。しかし差し引いても素晴らしい作品には変わらない。
すごく長くて内容も疲れる部分は多くて大変だったけど、読んで良かった。こうゆうのがあるから読書はやめられないのだ。

貴志祐介。ちょっと他のも読んでみようと思います。
「新世界より」はアニメ化もされてるので時間見つけてみてみたい。
だけど1話30分と言えども20話以上もあるのか。見れるかな。。
そうゆう時間って歳をとるごとに無くなってくるな。気持ちの問題か?

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The End_889 古市場 / Nikon D600

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イニシエーション中断
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「貴志祐介 / 新世界より(中)」

中巻、間開いちゃったうえに小出しですみません。
上巻の後半、バケネズミとの戦いが一段落してからの展開。
上巻の終わり方が意味深で、すぐ中巻を手に取り読み始めちゃった。
作者の作戦にどっぷりはまった感じ。

上中下巻に別れたレビューなので、どうしてもネタバレになってます。
未読の人は以下の文章は読まない方が良いと思います。
結果的にはすごい面白い小説なのでなおさら!

規則を犯した生徒たちに対し、神栖66町の倫理委員会は彼らの記憶を操った。しかしその事によって神栖66町の裏の顔が見え隠れしだす。危険な兆候を見せた少年少女を排除することによって何百年の安定を実現してきた経緯。神栖66町の過去や、外界で蠢き反映しるグロテスクな生き物「バケネズミ」との均衡など。彼らは何をみて何を知ったのか。

中巻で今まで広げた伏線や未解決の物事が少しだけ回収されだした。
それによって判明した部分と深まる謎な部分とがあって、ヤキモキする。
古典っちゃあ古典なんだが「それが彼女を見る最後になるとはその時は思わなかった」的な事を言われると
「なんだよもう。早く言えよ」となってしまう。すごく良い意味で。策に見事にはまっている僕です。

序盤から神話めいた言い方をされていた「悪鬼」や「業魔」の詳細がかなり描かれている。
特に過去に出現した「悪鬼」の説明の所は本当にリアルで、手に汗を握って読んでいた。
読んでいて恐怖感を感じる文章はそう経験ないかも。これは下巻でも同じ事が言える。
どんどん気になるし、どんどん進むから、細かい矛盾とか気にせず突き進められる。

中巻で彼ら5人の仲は大きく動く事になる。
仲間で一番の秀才、瞬の存在。同姓を越えた愛情を持つ真理亜の決断。劣等感から自分を責め出す守。
そして主人公の早季と覚の関係もいろいろ、いろいろ動きだす。
いわゆる学園モノの延長だった上巻から、一気にミステリー&戦争アクションに変わって行った。

下巻は上中よりも100P程多いけど、この伏線回収がすべてうまくいくかは心配になっていたお正月。

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The End_888 川崎 / Nikon D600

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自己顕示欲消失症
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「ガタカ」

「新世界より」の時に、僕はSFが苦手だとかいたけど、どSFな映画。これも去年みた映画。
本当にどSFでした、でもわりと面白かったな、、そんなに苦手でもないのかもしれない。星新一みたいな話。
ジュード・ロウが出てるんだけどとにかく若い!つっても97年の映画だからもう16年も前ということか。
じゅうぶんジュード・ロウもおっさんになれる時間が経ったという訳か。恐ろしい。

近未来の話。遺伝子工学の進歩で、胎児の段階で劣性遺伝を排除できるようになっていた。しかし両親の考えでその処置を受けずに自然の形で生まれて来たヴィンセントは、心臓に障害を持って生まれてきてしまう。そして生まれた瞬間に30歳までの寿命を言い渡される。次に生まれるてきた子はしっかりと劣性遺伝を排除した子どもで、アントンと名付けられた。何をやってもアントンと比べられてしまうヴィンセントだったが、密かに抱く宇宙飛行士になる夢を抱き、家を出て大企業ガタカ社の試験を受ける。「不適正者」のヴィンセントが夢を叶えるために行った手段とは。

冒頭からその件が出てくるからネタバレにはならないと思うので言ってしまうけど。
ヴィンセントは下半身不随になった適正者になりすまし、ガタカ社の社員として潜り込む。
そのなりすまし方が徹底してて面白い。もちろん映画だからな部分はあるんだけど、ばれそうになってヒヤヒヤしたり
恋人にはすでにばれてたりして、庇ったりしたりのなんやかんやがまた面白いのだ。

エリートとして生きる弟との確執も「遠泳」というキーワードを使ってだいぶ青臭く演出していたり
そもそも「適正かどうか?そんなの関係ないぜ」感がすごく出てて好きだった。
ブレードランナーほどガシャガシャしてないけど、キューブリックまでさっぱりしすぎてない未来感も好きでした。
なんか本当に「近未来」感があったのです。僕らが小学生の頃描いてた21世紀的な。そんな感じ。

これはSFというかミステリーかも。ジュード・ロウ演じる下半身不随の人がすごく心に残った。
適正者として水泳でエリートとなったが、エリートならではの苦悩で自ら半身不随になったといういきさつ。
寂しさは埋まらないという事か?ラストの彼の行動も胸を打つものがあった。グッと来た。
適正者だから幸せなのか?不適正者だったら夢を持ったらいけないのか?という僕の好物めいた感じでした。

ユマ・サーマンも出ててさ、ジュード・ロウとこの二人をみると「未来」っぽさは増した。
なんか人間離れした、ツルッとした顔。ナイスキャスティングという事かも。

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The End_887 西小山 / Nikon D600

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いなくなった人
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「クラッシュ」

この映画はみたのは去年の事です。なんで知ったんだか忘れた。
みたあとの大まかな感想は、とても良くできた映画。という素直な感想。
テンポも、構成も、物語も、メッセージ性も素晴らしかった。
イニャリトゥのバベルっぽい感じが少しある。繋がってなさそうで繋がっている。

クリスマス前のLA。ハイウェイで起きた1件の自動車事故をきっかけに、いろんな人の運命や背負っているものが明るみに出てくる。黒人に差別意識がある地方検事のリックとその妻。病がちな父親の介護をする警官とその部下。黒人の有名TVディレクターとその妻。車を盗んで生計を立てる二人組の若者。銃を買った雑貨店のペルシャ人。貧乏ながら小さい子どもを育てる鍵屋。白人の同僚であり恋人を持つ黒人の刑事。それぞれの人間が抱える、それぞれの事情が物語にいろいろな影響を与える群像劇。

出てくる人がそれぞれの宿命を背負い生きている。そして皆が自分の境遇や不幸を呪い他人を責め立てている。
そんな感情が腹の底で渦巻いているのに、我慢して押さえている感じがすごく良く出てた。
最初は、こいつらなんでこんなに嫌なやつなんだろうか、、と思ってみてたけど。
後半は感情移入して段々と共感する部分が多くなってきた。あなたの気持ちも分からないではない、かも。と。

これは持論だけど、差別や偏見はそれぞれ個人の心の中にあるし、決してなくならないものだと思ってる。
人種差別も完全な意味ではずっとなくならないんだろうと思ってる。悲しいけどそれが人間なのかしら。
黒人、白人、アジア人、ヒスパニック。いろんな人種が生きていて共存し、依存し、対立している。
それに付け加えて家族もすれ違う。夫婦もふたりの関係ではない所で傷つけ合いすれ違う。非常に虚しかった。

「ミリオンダラー・ベイビー」の脚本書いた人が監督した作品なのね。ポール・ハギスという人。
ダニエル・クレイグ版の007の脚本もやってて、クリント・イーストウッドとの関わりも深い。
父親たちの星条旗、硫黄島からの手紙とか。この2つはあまり好きな映画ではなかったけど、、
でもなんか気になってくるのでとりあえずラッセル・クロウの「スリーデイズ」というのを今度みてみる。

この映画サンドラ・ブロックが出てるけど、主役という訳ではなくみんながみんな主役という感じ。
こないだみた「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」に出てたサンドラ・ブロック。
あんまり知らないんだけど、この映画と「ものすごく~」をみる限りすごくいい女優さん。
顔は好きじゃないけど、女優さんとしてはすごく好きです。ゼログラヴィティも、みたいな。

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The End_886 野川公園 / Pentax 645

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僕らの言葉
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「貴志祐介 / 新世界より(上)」

もう去年の事だけど「永遠の仔」を読み終えて、村上春樹のエッセイ読んだ後
また長い小説に手を出してしまった。と言ってたのがコレ。上中下巻の総ページ1400越えの長編。
今現在はこの本の下巻を読んでます。お正月はコレ読んで、ゲームして、映画みて食って寝てた。
俗に言う「一気読み小説」として存在は知ってたんだけど、長さ故に手が出てなかった。けど出してしまった。

現代から1000年後の日本。豊かな自然に囲まれた集落に住む人間たち。神栖66町と名付けられたその町はしめ縄で囲まれていて、外部からの異物の侵入を拒んでいる。住んでいる人間たちは神の力「呪力」を使い平和な社会を作って生活していた。その神栖66町に住む5人の少年少女たちは、同じ学校に通う仲間だった。ある日学校の課題で子どもたちだけでキャンプに向かう事になる。彼らは冒険心から行ってはいけないと言われていた場所を目指し、先代の文明の一端を知ってしまう。

最初読み出した時は「SFって苦手なんだよな。。」につきる。じゃあ読むなよってはなしだけど。
僕は本当にSFが苦手なのだ。ファンタジーはもっと苦手だ。ハリポタも指輪物語もダレン・シャンも苦手。
だから最初は固定観念からか、世界に入り込みきれないでいた。でもこの物語はSFとひとくくりにできないものだった。
ミステリーでもあり、冒険活劇でもあり、恋愛要素も戦争アクションもありのエンターテインメント小説だった。

上巻の前半は世界観を説明するのを優先してた節があり、すこしだるい感じもあったけど
全体的にみるとすごいスピード感あふれる文章で、ページがみるみる進む作品です。
中盤から後半にかけてはもう、素直にハラハラドキドキしながら読んだ。
少しというか結構、グロ表現あるけど大丈夫。僕が言うんだから軽いんだと思います。

すでに下巻まで読んでいるので、なんかおおざっぱな感想にしかならないけど。。
とにかく!この小説はすごい期待できる感じでした!小出しで申し訳ないけど、続く。

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The End_885 多摩川 / Pentax 645

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世界のはじっこに腰をかける
ずいぶんと更新があいてしまいましたが、普通に元気です。更新できなかった理由はたぶん正月ボケです。今年は珍しくゆっくりとした年末年始を送りました。といってもPCとネット環境さえあればどこでも仕事ができてしまうので、どこからどこまでがオフなのかは相変わらずはっきりしません。だけどいつもなら12月30日~2日まで休みで3日くらいから仕事をしだす感じなので、今年は例年になくゆっくりとした年末年始だったんでしょう。1週間弱といえども、実家での堕落しまくった生活が続くと人間として駄目になる事が分かりました。食事は黙ってても出てくるし、洗濯はおまかせ、風呂は勝手にわいてるし、布団はふかふかなのだから、しょうがないといえばしょうがない。

もともと僕は「3日間仕事を休むと不安になる症候群」という持病を持っている。なので6日間の休暇というのは、最高に長い休暇というものになる。最初は不安も感じたけど正月だから、、という言い訳で覚悟を決めて堕落しまくった。その結果、社会復帰にすごくエネルギーを使う事になった。今さら思うんだけど実家での生活はすでに非日常になっていて、僕の生活の基本はもうここではないんだなあ、と。とても良い意味で思ったのだ。そしてそして「食べ過ぎたから太ったかな?」と思ってたけど、見事にばっちり体重は増加していた。30代の露骨なまでに正直な身体に感心する気持ちすら覚える。今日測ったら元の体重に戻りつつあるので深刻には考えてないけど、少し気にしよう。お菓子とか、お菓子とか、お菓子とかさ。それにしても実家ってなんであんなにお菓子が大量にあるのだろうか。子どもがいるといってもいささか多すぎるよ。

誰かしらがずっと家にいるという生活が続くと、元のひとりの生活に戻るのがすごく億劫でした。元来「ひとり」という事が好きなはずの僕なのに、慣れってすごく怖い。ひとりになるのがすこし淋しかったのだ。だけどもう大人だから重すぎる腰をあげてなんとか自宅に帰った。一人暮らしを始める時、最後に母親のご飯を食べて送り出される時の気持ちを思いだした、、と言ったらおおげさかな。そんな風にちょっと感傷的になってしまった帰り道。風は無かったけど気温がすごく低く、ぴりっとして、新年の空気をまとった静かなとても良い夜だった。だからいつもと違く、少し遠回りだけど多摩川沿いをずーっと通る道を自転車で帰った。暗闇に包まれた河川敷は川面に夜景が反射して、遠くには高架を走る電車が見えて、その音は風景より遅れて僕の耳に届いた。僕は自転車を止めて少しその風景を眺めていたんだ。僕はその夜、久しぶりの「ひとり」を味わった。けどそれは前述した「ひとり」とはまた違ったもので、一人旅に行った時によく感じてた「なんか世界に僕一人ぼっちみたいだ」という感覚だった。胃の下辺りがぎゅーっとなる感じ。それは単純にずっと実家にいたから、そのギャップでそう感じただけかもしれない。だけどこれは若い頃によく感じていたもので、社会に出てから段々と少なくなって、今では旅に出た時くらいしか感じなくなってしまったものだった。最近は旅にも出てないのでめっぽうご無沙汰だった訳です。そしてこの事がきっかけで僕のセンチメンタルスイッチは見事にONに切り替わったのです。

土手に座って自販機で買ったコーンポタージュを飲みながら少しぼーっと考え事をしていた。また日常に戻る僕。また大きな意味で繰り返しの生活が始まる。でもしっかり時間は流れていて、皆、僕もあたりまえにちゃんと歳をとっていて。できれば今のままが良いけどきっとそうも言えなくて、いなくなっちゃう人とかもいると思うし。そもそも僕は今まで何をやってきたんだろう?何を残せたんだろう?これから何ができるんだろう?今まで歩んできた道を少し振り返ってみると、後悔や反省であふれてて、嫌にもなって、その時自信をもってした選択が合ってたのかどうか、今では全く分からなくなってたりして。夜空を眺めていると、僕は小さい頃に想像した大人になれているのかな、とか。あの時意味もなくずっと眺めてた空は、今も同じように見えているのかな、とかまで思うようになり少し泣きそうになった。こんな事を書くとクサイだ、ナルシストだと言われそうですが、その時に自然に思ったのだ。人生というのは幸福や歓喜よりも、辛い事や悲しみで溢れているけど、それでも前を向いて生きていくのは、たぶんひとりじゃないからなんだと思う。僕は「ひとり」が好きだと言っておきながら、ひとりじゃないから生きてられるのだ。そうゆう人が少しでもいるのならば、今年もちゃんと前を向いてコツコツと頑張らないといけないんだ。と思ってすこし気合いが入ったんだ。きっとこうゆう事の繰り返しで僕はこの先も生きて行くんだと思います。しかし真っ暗な河川敷で30過ぎの独身男性が少し泣きそうになってる。完全に不審な人だったと思います。職務質問されなくてよかった!

新年早々何を言い出すんだ。という感じですが、そんな訳で正月ボケも無事解消して、もうバリバリ仕事をしています。今年もマイペースに頑張っていこうと思います。僕なんかがこの社会で出来ることなんて、きっとたかがしれてるけれど、それでも無駄じゃないという事を信じて頑張ろうと思っています。そして間があいてしまったブログも再開します。更新してない間も普通にいろいろみたり読んだりしてるので、書かなきゃいけない作品がいっぱいたまってるのだ!それでは改めまして、今年もよろしくお願い致します!

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The End_884 靖国神社 / Pentax 645

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正直に生きる一年にしたい
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あけましておめでとうございます。2014年の年賀状です。
住所がわからないなどで送れなかった人、ごめんなさい。
去年から干支をモチーフに絵を描くのはやめました。
去年はバナナでした。今年はリンゴです。意味はありません。
なぜリンゴかは、僕にもフジ暴力にもよく分かりません。

あけましておめでとうございます。
旧年中は大変お世話になりました。
本年もよろしくおねがいもうしあげます。

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