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みるも無残な食卓
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「青春デンデケデケデケ」

こないだの大林宣彦、尾道三部作のながれで。
浅野忠信も出てるし、みないとっつー事で。しかし浅野、若かった!

1965年、香川県の観音寺市。高校入学を控えた「ちっくん」こと藤原竹良は昼寝をしている時にラジオから流れてきた、ベンチャーズのパイプライン(デケデケデケデケ)に衝撃を受け、高校に入ったらバンドを結成しようと心に誓う。3人の個性あふれる仲間と出会い無事バンドを結成するが、夏休みにバイトして楽器をそろえる所からのスタートだった。バンド名は「ロッキング・ホースメン」に決まり、段々と学内での人気も上がってくる。高校三年間をロックに捧げたちっくんの青春を、ほのぼのとコミカルに描いた物語。

みていて「めちゃくちゃ面白い!」という映画ではないけど、面白くない所もない。
バンド仲間探して、バンド組んで、バイトして、楽器買って、練習して、少し恋もして、そして本番。
ただそれだけなのにみてていて面白い。というか映画の中の人たちが本当に楽しそうなのだ。
こんな高校生活だったら楽しいだろうな。と憧れの眼でみてしまった。

原作は「東京シックブルース」が大好きだった芦原すなお先生。
この時代の青臭い男子の日常を描かせたら右にでるものは居ないはずだ。
特にちっくんの初デートのシーンなんて、はがゆくて死にそうになる。
海まで歩いてって女の子作ってきたお弁当(バスケットに入ってる!)を食べるのだ。はがゆい!

しかし狂乱の3年間は瞬く間に過ぎ去り、彼らにも卒業の時期が近づく。
家業をつぐもの、進学を志すもの、期待と不安でなにがなんだかわからなくなる時期。
自分がなにものなのか分からずに、ただ時間だけが進み決断を迫られる時期。
ちょっと待ってくれ!という気持ちとは裏腹に暴力的に時間は進む。そして劇的な夕焼け。

祭りの後のような、甘い物の後のしょっぱい物のような、そんな感じがすごくしみるのだ。
ちっくんの廻りの仲間の、ベタすぎる演出も最高だった。というかやっぱり僕は泣いたよ。
映画の舞台を湘南にする案もあったみたいだけど、香川県で良かったと思う。
言い具合の田舎さと、やっぱり大林宣彦の映画は坂が多い町が良いみたい。

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The End_824 渋谷 / Nikon F3

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生まれつきの欠落
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「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」

死ぬ事なんて考えないで、楽しく面白おかしく生きた方がいいじゃない。とたまに言われる。
別に僕は死にたい訳ではなく、死の事をよく考えてしまうだけで、それはいたって普通の事だと思っている。
生物は生まれた瞬間から死に向かっていくし、人間だけは自分が死ぬという事を早くから理解して生きている。
だから死を意識して生きていくことはすごく自然な事なのだ。むしろ考えないで生きている方がどうかしてる。

なんで急にそんな事を言い出すかというと、僕は本を読んでいる時に気になった文章があるとメモっておく。
それは引用だったり自分が思った事だったり。これは殴り書きでページのすみに残ってたけど覚えていない。
だから本の内容なのか、自分が思った事かどうかは分からない。でもたぶんなんかあったんだろう。
すごく読む力が必要な本だったけど、深層心理に触れているような感覚で、面白かった。

あらすじというあらすじはありません。タイトル通り村上春樹が心理学者の河合隼雄に会いに行った話。
1995年に行われた対談で「地下鉄サリン」「阪神淡路大震災」そして「ねじまき鳥クロニクル」の話が多かった。
特に阪神淡路大震災は、東日本大震災に通じる所もあって、今とあんまり変わらない感覚で読めた。
こんな僕が意見できるほど浅い話でもないので、読んでいて心に止まった事を書いておこうと思う。

日本人は心的外傷を受けるような衝撃(震災だったり)を「個人」で受け止めるのではなく「全体」で受け止めるらしい。だからその中の個人が神経症的な症状を出すことは少ないらしいのだ。これは良いことと取れがちだけど、症状を出してくる人が少ないということは、がっちり1人で受け止めて悩む力がないという事になる。良い意味では神戸や東北で起こった震災を個人の事だけにせずみんなで一丸となって日本全体で受け止めている。逆を言えば文句ばかりで他人のせいにして、自分では泣いて不満を言うだけの人になる「結局自分で乗り越えるしかない」というふうになかなかならないらしい。責任はみんなにあるんだから「わたしの不幸をなんとかしてちょうだい」となるのだそう。欧米人の場合はあくまで個人で衝撃を受け止めるから、辛くなった人はノイローゼになったり自殺してしまったりする。でもそれを乗り越えると強くなる人が多いそうだ。それもすごい力で乗り越えていくらしい。

この前にコミットメント(関わり)とデタッチメント(関わりのなさ)という話から派生していくんだけどそれが面白い。
日本人は基本コミットの文化で学生紛争の時代なんてコミットの真髄だった。集会をサボると付き合いが悪いといわれた。
個人的な意見を言うと異端になった。ベタベタにコミットしている人間が立派な人間というヒエラルキーが生まれていた。
欧米は「個人」として集団と関わるので、参加するときは参加するというのが成り立つらしい。だからたまにの参加でも意見は言える。面白い。

そして最後にいちばん感銘を受けたこと。
心理療法のひとつに「箱庭療法」というのがあるらしい。砂を敷いた箱の中で色んなミニチュアを使い作品を作ってもらう。そのような表現活動を通じて自己治癒力が働き、癒される。というもの。その作業の中で、すごくきれいな花をいっぱい使った曼荼羅(まんだら)を作った人がいたらしい。でもそれを見てもみんなまったく感動はしなかったので、なんでこういうものを作ったのか聞いたらしい。そしたら「箱庭療法というのは曼荼羅をつくるものなんでしょう?」という返答があった。どこかでそうゆう事を聞いていて「そうでなければならない」と思って作っていたのだ。だからそれはその人の中から出てきたものではないのです。だから感動しなかったのだ。著者はその後一言付け加えてて「自分の中から出てきたものは、やはりみんなものすごく感動してるのです。すごく不思議だけどそこに投入するエネルギーの量というのはどこかで伝わるんでしょうね」だって。

これは本当に納得してしまった。人それぞれ価値観は違うけど、ほとんどの人が「いい!」とう作品ってあるもんな。
それはやっぱり「エネルギー」なんだと思う。僕の近くの人だと絵描きの「いでたつひろ」くんが真っ先に思い浮かぶ。
たっちゃんの絵は、内から出てきてるなあと思うし、エネルギーもすごく伝わる。そしてみんな「いい!」と言っている。
内から出てるエネルギーがあるかないか、作品と対峙した時に僕の心がそれを感じたかどうか、これから意識してみよ。

僕の写真はどうなんだろうかしら、きっとないな。頑張ります。
頑張ってできるものなんだろうか?まあいいや。

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The End_823 平和島 / Nikon F3

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まどろめパリよ!
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「ポンヌフの恋人」

ずっとみたかったんだけど全然扱ってなくて、いつも行かないツタヤも行ってみたけどなかった。
だから少しあきらめ気味だったんだけど、急にいつものツタヤで発見した。
ウォン・カーウァイ特集のとなりにひっそりと置いてあったのだ。なんか関係あるのかな。
岩井俊二の昔の作品もリマスターで再販されてて、それと一緒になってた。

真夜中のパリ。セバストポル大通りに横たわる男がいた。その男に気付かず猛スピードで走る一台のスポーツカーは、男の脚を轢いて走り去っていく。その光景を始終目撃している女がいた。病院で怪我の治療をしてもらった男、アレックスは、修理中で立ち入り禁止になっているポンヌフ橋に戻ってきた。アレックスはホームレスで天涯孤独の身だった。生活の場にしている橋に戻ってきた時、彼の寝床には事故を目撃した女が寝ていた。その女は子猫を抱き、眼の奇病を患った画学生だった。

レオス・カラックスの青春三部作、の最後のやつ。監督が異常なまでの完璧主義者という話。
撮影が延びまくりポンヌフ橋での撮影期限が切れてしまい撮影できなくなった。じゃセットで作ろう、となり
当初8億円だった制作費が32億円までふくれあがった。その逸話から呪われた映画とレッテルを貼られてる(笑)
でも予算を引き出せるだけすごいし、公開してからはロングラン公開してる。素晴らしい事だと思う。

皆が口を揃えてきれいだきれいだと評する花火のシーン。
僕はあんまり心に響かなかった、なんでだろ。花火がきれいだ。。くらいにしか思わなかった。
それよりもセーヌ川で警察のボートを盗んで、ウェイクボードしだすシーンの方が最高だった。
パリ在住トーゴ氏に聞いたらセーヌ川は泳げるようなきれいな川ではないそうだ。それ聞いてより最高のシーンになった。

でもこの映画をみてて、フランス人ってホント運命的なものが好きなんだなぁと感じてしまう。
青春っていうと聞こえはいいんだが、青春ってみんなグチョグチョに悩んでいる訳で綺麗な物ではない。
人を裏切るし、自分の不潔さに嫌にもなるし、なによりも美しい物の定義を模索している年頃だ。
フランスの映画ってそうゆうのを無理に美しく美しくみせようという風潮がある気がする。少し苦手な所だ。

しかし最後の雪のシーン。あれはもう最高だと思います。やっぱり冬は大好きだ。

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The End_822 渋谷 / Nikon F3

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読む力、ワインボトル、夢の終わり
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「ヤング・ゼネレーション」

ピーター・イェーツ監督の1980年公開作品。
またしても先に言ってしまうが、最高な映画をみてしまった。

インディアナ州ブルーミントンに住むデイブは、ハイスクールの課程を修了していたが大学に進む気があまりなかった。彼の情熱は自転車に注がれており、レース用の自転車を乗り回しイタリアチャンピオンに憧れてた。その影響で酷いイタリアかぶれの人間になっていた。彼以外に3人同じ境遇の若者がおり、4人は昔採石場だった所にできた天然のプールででたむろしていた。彼らはその縄張りを荒らしにくる大学生グループと敵対することになるが、デイブはその大学生グループの中にいるキャサリンに恋心を抱く。

もう1回言ってしまうが最高な映画をみてしまった。細かい所は抜きにして最高だった。
最近というか、今年のマイブームランク上位に自転車が入り込む予定な僕だからかもしれんが、最高だった。
デイブの真っ赤な自転車がえらくかっこよくて欲しくなっちゃった。なんてメーカーなんだろ。
とにかくダッシュしている時、前を走るトラック運転手が現在のスピードを教えてくれる。そのシーンが好き。

大学生にもならず日々ぐーたらすごしている4人組。廻りからは見下され「カッターズ」と呼ばれている。
モラトリアムな時期のぶつけようのないフラストレーションが描かれてた。あの愛すべき非生産的な日々だ。
女子はどうなんだかわからんが、多かれ少なかれ男子にそうゆう時期が必要だと思う。僕ももちろんあったし。
いまおまえは生産的なのか、と言われたらあまり自信はないけれど。

少し言っちゃいますがごめんなさい。物語の流れは、王道の部類に入るかもしれない。
ダメレッテル→壁にぶつかる→離散→集合→努力→歓喜。的なあれ。でもみんなそうゆうの好きでしょ?
僕はもちろん大好きさ。青春映画はもうベタにそれで良いと思っている。
それ以外に血が熱くなることなんてあるんだろうか。あるのなら教えて欲しい。最近こればっかりだな。

恋愛描写も割と好きで、デイブのアタックの仕方は凄くシンプルでアホっぽくて好きだった。
アメリカ人みたいに自分の気持ちを素直に伝えられるって素晴らしい事だ。不器用さも相まってまた良かった。
いろいろすったもんだして、デイブは女の子の逆鱗に触れる。そしてビンタされるのだ。
このビンタががすごい、女子といえどもさすがアメ公だ。空気が凍り付くビンタ。男子には出せないものだ。

社会に出る前のあの不安感、もう自分の理想すらなにかが分からなくなり、現実すべてが汚いものに見えてしまう時期。
デイブ憧れのイタリアチャンピオンだって、友達の結婚だって、仕事の内容だって、全て憧れで夢なのかもしれない。
それでも順応しようと努力はしている、でもなにか整理できない自分がいるのだ。すごくわかるんだ、そんな気持ち。
大人になると「しょうがない」の名のもとに心の整理がうまくなってしまうけど、根本にあるその思いは忘れずにいたい。

ロケ地の石切場に行ってる動画があった!僕も飛び込んでみたい。

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The End_821 津田山 / Pentax 645

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朝の色彩、虹、すだちポン酢
いきなりだけど僕は早起きの人間だ。正確にはこの2、3年で早起きな人間になった。
それを老化現象だという人はいるけれど、なまじっか間違いではない。でもそれだけではない。
一回朝の魅力にとりつかれたら、朝にこそ世界の美しいものの全てがあるっつっても過言じゃなくなる。
それくらい朝はすばらしいのだ。夜も美しいけど、朝には負けるのだ。

だいたい普通は5時半か6時に起きる。夏はもっと早くに起きる、すぐに暑くなっちゃって走れないから。
生まれたての一日、それを祝福する鳥、引き締まった空気、朝もや、透明感ただよう景色。
その中を走り抜ける事が本当に気持ちいい。それよりも気持ちいい事があるなら教えて欲しいものだ。
そしてこれから大好きな冬がやってくる。暗いうちに起きて走るのだ、もうこれから楽しみでしょうがない。

ジョギングだけではなく、脳みそが一番活発になる時間は絶対に朝だと思っている。
毎日走るわけではないけど毎日早起きしてるから、午前中からバンバン仕事してる。効率はすごくいい。
夕方から19時くらいになると頭に「もや」がかかりだして、だんだん不調になってくる。
急ぎの仕事がない限り考えるのはやめちゃう。あとは本を読んだり映画みたり音楽を聴いたりリラックスする。

そして緩やかに睡眠に入れるようにお風呂入ったり、ストレッチしたりする。なんかOLみたいだな。
そして良質な深い眠りに落ちていく。朝まで起きることなく泥のように眠る。起きたら完全に元気!でまた走る。
朝走る→疲れる→夜早く眠くなる→酒を飲まない→5時間睡眠でスッキリ起きる→朝走る。
素晴らしいルーティン。酒を飲まなければ1時に寝たって6時には起きる。疲労も完全回復だ。

この朝方生活を一度体験すると本当にやめられなくなる。やめたくなくなる。
もちろんこんな仕事をしていると夜遅くまで仕事しないといけない事は多々あるし、徹夜もある。
だけど基本が朝方になっていれば、いくらでも調整はできるような感じはしてる。
なによりも朝日が昇ると共に活動し、夜はぐっすりと寝る。人間の基本なのです。

そして痩せるよ!僕が言うんだから間違いない。その話はまた今度。

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The End_820 早稲田 / Pentax 645

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襲撃、赤飯、写真の角度について
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「オン・ザ・ロード」

映画館でみてきたので先に感想書いちゃおうと思って。
いまさら説明不要だけどビートニクを代表する作家。ジャック・ケルアックの代表作の映画化。
プロデュースはF・コッポラ。監督は「モーターサイクル・ダイアリーズ」のウォルター・サレス。
こうなったらもうみるしかないと思ってたけど忘れてた。調べたら上映終了ギリギリだったので滑り込みでみてきた。

サル・パラダイスは1940年代のニューヨークに住む作家志望の若者。彼は父親の死がきっかけで放心状態になり生きる意味を見失いがちになる。そして「自分探しの」願望を持つようになり心はさまよい始める。そんな中ゲイで詩人のカルロやコロラドからやってきた限りなく自由な男ディーンの存在に影響を受け旅に出ることを決意する。

説明不要と言っときながら僕は原作を読んだことがない「地下街の人々」ってのを学生時代にフジ暴に借りたくらい。
当時はリバイバルでビートニクブームめいたものがあって、それに乗っかるのが凄く嫌だった。
でもこの原作は世界文学全集版で持ってはいるんだ。でも読んでなかった、タイミングがこなかったのだ。
だから今回の映画化はすごく良いタイミングだったのかもしれない。映画が先パターン、すこしワクワクした。

けど実際みてみてどう思ったか。僕的には性行為のシーンが多すぎてげんなり。原作もこんななの?
それと放浪感はまったく感じなかった。道中にいろんな人に会って、一期一会で、的な話じゃないの?
という悪い意味でイメージと違っていた。後半の山場までがすごく眠くなってしまった。
でも主役のサム・ライリーはすごくよかった。生きることに悩む若者感がすごく出ててよかった。

少し期待しすぎたのかもしれない。けど僕には「自由を求めて」というよりは、、
好き勝手にドラッグやセックスをして、現実突きつけられても答えられなくて遊びほうけているディーン。
にしか思えなかった。ダメ男だ。ダメ男がダメな訳じゃなく、そりゃ女性から見ればダメなんだろうけど、男としては、
ダメな中にも哲学やプライドがあれば憧れに変わる。でもそれがなかった。だからかっこいいと思わなかった。僕はね。

ゴッドファーザーの時も言ってたけど、できるのならば「名作」と言われているものは押さえておこうと思っている。
あまり趣味じゃなくても皆が名作と言ってるものをみないで死ぬのは少しもったいないんじゃないか。という事。
だからあまり気が進まないけど原作読んでみようかなと思ってる。せっかく買ってあるし、もったいないもんね。
10代の頃にはまった旅モノ小説。藤原新也、妹尾河童、沢木耕太郎的な存在になるのか。僕にもわからん。

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The End_819 自宅 / Pentax645

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韓国デタッチメント事情
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「池井戸潤 / 下町ロケット」

僕の親父と兄貴はいわゆる「本の虫」で僕が本を読む人間なのは少なからず彼らの影響があるだろう。
こないだ実家に帰ったときに親父の本棚を物色してた。「パスカル」とか「相対性理論とは?」とかあって
本当に読んでるのかい。とひとりで突っ込んでたらいやにベタなのを見つけた。それがこの本。
直木賞とっただかなんかで話題になってた。自分では絶対に買わない本だから読んでやろうとパクってきた。

町工場の工場長、佃航平は元JAXAのロケット開発主任だったが、ロケットの打ち上げ失敗の責任を被り退職。実父の死もあり実家の町工場を継ぐことになる。工場は小型エンジン用のバルブを製作していたが大口の取引を失い、経営は赤字転落をまぬがれない事態になった。そのうえ大手メーカーから特許侵害による訴訟を起こされた。損害賠償額、90億円。

う〜ん。面白かったと思います。でもこんな僕が失礼だけど「本当に直木賞?」という感想。
本当に僕なんかが言える言葉じゃないけど、いち読者として少し物足りない感じがした。
そこまで心は動かなかったのだ。なんでだろう。小説としては面白い部類に入るし完成度もすごく高い。
でもたぶん5年後に内容を覚えてるかというと、てんで覚えてない小説だと思います。

実際、現実はこんなに綺麗じゃないし、社員と社長の関係もこんなにベタベタしてるのは気持ち悪いと思う。
だけど「モノ作り」という意味ではすごく信念が伝わって、生みの苦しみとか、共感する部分は多かった。
町工場の場所は大田区上池台だから僕の家のすぐそば。下山事件の下山さんが住んでた町だ。
社員は長原駅前の居酒屋で酒を飲んでたり、中原街道や旗の台。聞き慣れた地名が多くて楽しい。

あらすじだけ読むと裁判の話なのかと思うかもしれませんが、裁判沙汰は全体の半分くらいで片づいてしまう。
それよりもそのバルブをめぐって、大手ロケットメーカーの帝国重工との駆け引きが見ものでした。
夢とビジネス、理想と現実、社員との溝、あと思春期の娘。いろんな障害が佃を待ち受けているが
くじけそうになってもプライドを捨てず、迷いながらも突き進む男の話だった。普通に面白かった。

ラストも少し身震いしたくらい、きれいな終わり方だった。だから本当に優秀な作品なんだと思う。
だけどこの人の他の作品を読んでみよう。とは思わなかったのだ。なんでだろ。まいっか。

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The End_818 四谷三丁目 / Pentax 645

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毛布にくるまって眠る幸せ
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「ウォン・カーウァイ / ブエノスアイレス」

ツタヤでウォン・カーウァイ特集をしてて、みたことない作品だったので。
香港舞台ではないという事と、同性愛をモチーフにした作品として話題になった作品。

旅の途中で知り合ったゲイの二人。ウィンとファイはイグアスの滝を目指すが道に迷い口論になり、それがきっかけで別れた。その後ブエノスアイレスでドアマンをしていたファイの部屋に傷を作ったウィンが転がり込んでくる。怪我から回復したウィンは外出が目立つようになり、居なくなることを恐れたファイはパスポートを隠した。それを知ったウィンは怒り狂い暴れた。しかし取り合わないファイに愛想をつかし部屋から姿を消した。

この映画、同性愛っつーのはそんなに気にならない。冒頭で性的な表現が少しあるだけでその後はあんまりない。
舞台は香港じゃなくアルゼンチンはブエノスアイレスなので結構な不潔さ。
その不潔さがウォン・カーウァイだときれいに見えてしまうのは僕の色眼鏡かね。
しかし軽度の潔癖症な僕は、水回りの不潔さに少し鳥肌がたつよ。

トニー・レオンって若い頃の三島由紀夫にそっくり。筋肉の感じもすげえ似てる。
前にフジ暴に聞いたことがあるけど、ゲイカップルのケンカは男同士だから力対力になるらしい。
肉弾戦だ。この映画でもそんな表現があったけど、愛情のもつれと腕力をかけると、恐怖そのものだった。
レスリー・チャンって人は名前だけでほとんど知らない。もう亡くなってるのね。自殺。。

同性愛。地球の裏側。世界の果て。なんか究極な感じはしたな。
異国でコツコツと生活の基盤を作り帰国を目指すファイ。対照的に奔放なウィン。
帰国するためのお金がたまり、帰国まえにイグアスの滝を見に来たファイ。
「世界の果てがみたい」と南米最南端を目指したウィン。

ウォン・カーウァイ作品をみるとやっぱり村上春樹感が否めない。
ブルーベリーナイツですら村上春樹を感じた僕。なんでなんだろう
ウォン・カーウァイ自身も村上春樹ファンを公言しているけど、映画にも影響あるんだろうな。
「ブエノスアイレスは香港の裏側。ぼくは香港を踏んでいるんだ」というセリフ。好きだった。

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The End_817 鷺沼 / Pentax 645

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開くんじゃなくて、閉じない
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「FINAL FANTASY XIII」

MMO以外のFFシリーズは全部やっている。でも今作は未プレイだった。
発売からもう4年経ったけどなんでこんなに時間が空いたのか。
ネットでの評価が酷評につぐ酷評だったからというのは少しあるかも。
中古価格も1000円とかになってたから、本気のクソゲーなんだなと思っていた。

いちおあらすじ。天空に浮かぶ楽園「コクーン」に生きる人々はこの世界を理想郷と信じていた。コクーンは聖府の統治のもとで平和と繁栄を享受している。守護者「ファルシ」の祝福を受けて安らかな日々が永遠に続くかに思われた。だがその楽園を憎悪するファルシが出現する。禁忌の魔境とお皿レル下界より到来したファルシが眠りから目覚めた時、コクーンの平和は終焉を迎えた。ファルシに選ばれし者「ルシ」その烙印を刻まれた彼らは果たすべき使命を背負って死よりも過酷な宿命に立ち向かう。

こんな事言われてもぜんぜん意味わかんねえんだろうな。。
「パルスのファルシのルシがコクーンでパージ」という言葉はFF13が難解だということを象徴する言葉になった。
でもこれ、いざプレイしてみるとぜんぜん理解できるし、以外とシンプルな話だと思った。
前に「FINAL FANTASY零式」というのがあって、あれと同じ世界設定だったから抗体ができてたのかな?

だから僕にはネットで酷評されている意味が分からなかった。
確かにムービーも多いし、キャラの声優は少しうざいし、中二感満載なセリフは多いけど
バトルはだいぶ秀逸だし、音楽はFF12に匹敵する良さだし、グラフィックもすごい。物語も僕は好きだ。
もう一回やるか?と聞かれたら少し困ってしまうけど、プレイしてみて全然後悔していない。

なによりもエンディングはすごく良くて、ごめんなさい、少し泣いたよ。
いつも怒ってるライトニングさんが笑うんだもん「まるで奇跡だ」って。。なんか感動した。
タイトルバックの絵の意味もここで分かって納得した。なんか全部気持ち良かった。
なので僕の評価は「わりとよかった!」です。反論お待ちしています。

ちなみに僕のFFランキングは。
10>9>5>7>3>12>13>8>6>4>2>1

こうみると13はやっぱ低めだな。。FFの中では、という事だけど。
10の物語はやっぱり好きだ。9もファンタジー感とエンディングは好き。5は名作、是非リメイクを希望する。
7もリメイクすれば絶対売れるのにな。3は懐かしさで、たまねぎ剣士ファン。12はシステム&イヴァリース好き、音楽も。
13は今作、8はリノアが好きだっただけ。6は世界が終わるしか覚えていない。4、意外と苦手。2、忘れた、1、忘れた。



FF13まとめ動画見つけたので貼っておきます。
ネタバレというか全て出ているので、未プレイ、これからプレイの人はみないでください。

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The End_816 品川 / Pentax 645

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午前中から今日という一日を諦めないように
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「ふがいない僕は空を見た」

前にも書いたけど、新作がでたらすぐに買おうと思ってる作家は村上春樹と窪美澄さんだ。
その窪さんの原作の映画化なので、はやくみなきゃと思ってたけど、映画化に対すると恐怖感があって。
好きな原作が映画化されるとことごとくガッカリしてる。映画の方が良くなったことなんてほとんどないと思う。
でもちゃんとみなきゃと思ってて、、いざみてみたら波平な言葉ですが、今年一番心が動いた作品になったかも。

高校生の卓巳は母子家庭の一人息子。母親は自宅で助産院を営んでいた。卓巳は友人に誘われて行ったアニメの同人誌イベントで、あんずと名乗るコスプレ主婦と知り合いになる。あんずは卓巳を自宅に連れ込み、大好きなアニメキャラのコスプレをさせて性行為をするようになる。あんずは夫と二人暮らしだったが、執拗なまでに子どもを求める姑のプレッシャーからか妊娠せず、嫁としての立場を失っていた。

原作がすごくよかった。というイメージと、おおまかなあらすじ以外をいい具合に忘れてた事。
そして監督のタナダユキがわりと好きだという事。主演?の田畑智子という女優さんがすごくよかった事。
なんか全部がいい方にいって、すごくよかった!なんか安心した!みてよかった!
タナダユキ監督は「百万円と苦虫女」をみた事くらいしか知らない。暗い所は本当に真っ暗。フィンチャーみたい。

前にも書いたけど、僕の同世代の女性はまさに今、子づくりで悩んでいたり、育児でてんやわんやになっている。
ご存じの通り僕は全く縁がない話だけど、客観的にみていると大変そうで、楽しそうで、一生懸命生きてるなと思う。
この物語は不妊の問題だけではなく、ネット社会、格差社会、いろんな現実を突きつけて、一つの物語に結ばれてる。
みんなかっこ悪くてのたうちまわって、泥まみれになってたりもするけれどそれでも死なないで生きる。ということ。

不妊や不妊治療の話。やっぱりどこまでいってもナイーブな話で、男性の僕にわかる事なんてほとんどないと思う。
「女性って大変だな~」というお気楽な言葉にしかならくて本当に申し訳ありませんが、男性としてのシンプルな意見。
授かったことは素直に喜ばしいこと。でもできなかったからといって不幸と決めつけるのはなんか違う気がする。
しかし姑や親族のプレッシャーやストレス。そら出来る物もできなくなるわな。

そうゆう時日本人はふさぎ込んでしまって悪循環をおこすようなイメージがある。メンタルデフレスパイラル。
もちろん開けっぴろげに話せる事ではないんだろうけど、ナイーブな事をナイーブに隠そうとしすぎな気がする。
近くになんでも話せる人がいればいいけど、この時代ふさぎ込んで一人で考えてる女性も多いんだろうな。
僕はそうゆう相談をたまにされる。あまり気の利いた事は言えないけど、話は聞くのでなにかあれば連絡下さい。

そしてこの物語は高校生の卓巳と、主婦のあんず以外に、卓巳の同級生の良太くんの存在を無視できない。
彼は借金を抱えたまま別の男と住んでいる母親を持ち、バイトをしながら痴呆症のばあちゃんの面倒をみている。
第三者の力が必要だったかもしれないけど、多くを語らず文句の言葉も出さずに将来をみる彼はすごく偉いと思った。
個人的には「晴天の迷いクジラ」の由人くんに匹敵する好印象キャラだ。僕は這いつくばってる人が好きみたい。

しかし良い映画だった。最初に言っておくけどこの映画は性的なシーンがいっぱいです!エロくはないよ。エロいか。
原作も読んだときびっくらした。エロくて。最初に書いたけどいい具合に忘れてるので再読してもいいかも。
最後の方に出てきた言葉。「僕たちは、僕たちの人生を、本当に自分で選んだか」すっごく心に刺さってしまった。
それと最後の出産のシーン。すごい臨場感だったけど、あれ本当に出産してるの?どうなんだろう。

窪美澄さんは10月17日に短編集がでるみたいです。タイトルは「雨のなまえ」だって。いいなあ。楽しみです。

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The End_815 駒場東大前 / Pentax 645

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失語症、アモルファス、PSE法
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「ポール・セロー / ワールズ・エンド(世界の果て)」

めっきり読書量が減った。理由は自転車通勤に変えて電車に乗る機会がほとんどなくなったから。だと思う。
南は横浜、北は練馬くらいまでなら全て自転車。こないだ仕事で横須賀に行く時、久しぶりに電車に乗った。
音漏れ満載のイヤホンや、スメル、人との距離感、気の使いよう。もうお金を払って乗る意味がわからん。
完全に電車嫌いになってもうた。読書量が減るのはいかんけど、また読書熱はあがると思う。今は映画な気分なだけ。

で村上春樹あとに読んだ本、1Q84再読しようか悩んだけどやめた。翻訳は村上春樹なので一応つながりはあり。
9編からなる短編集で村上春樹の名前と、タイトルが気に入って読もうと思った本。ジャケ買いみたいなものだ。
村上春樹の短編にも言えることなんだけど、はっきりとした意味でのオチは薄い。まだある方かもだけど薄い。
だから普通に考えれば退屈な小説だと思います。そして僕にとってはすごく好きな小説になった。

表題作の「ワールズ・エンド」はアメリカの家を引き払いロンドンに移住した男の話。
「コルシカ島の冒険」はフランス旅行中のフランス文学者の話。他の話も「外国」ってのが共通してる。
異国で感じる疎外感。孤独感。被害妄想。知らなくても良いことを知ってしまった時の絶望感。
最後にどんでんがえし的なものもあるけど「わっ!」という返しではなく、静かに、ゆっくり返す感じでした。

、、この小説にはあんまり関係がいことなんだけど。読んでてなんとなく考えてた事。
オチも薄くなにが言いたいのか直接的に伝わって来ない作品を、一般的に「退屈な作品」というのかもしれない。
それが本当に凡庸な作品なのか、裏の意味や暗喩を受け取れていない、読む側の能力の問題なのかは分からない。
退屈さが好きという僕みたいな人間もいれば、理解をしてる人もいる、そしてクソだと吐き捨てる人もいる。

単純に好き嫌いの話なんだけど、村上春樹の短編なんてほとんどオチもなく、読む人が読めば「はっ!?」となると思う。
短編に限らず彼の作品は長編でも曖昧な部分、結論がない部分、難解な部分がいっぱいで理解できない部分は多いはず。
個人的には素直に読後の喪失感や虚脱感が好きだけど「ちゃんと理解してる?」と問われると自信ない。
でも新刊がでればワクワクするし、何回も繰り返し読む小説ってそんなに多くない。あくまで個人的な話。

だけど、そうゆう難解でさしあたって分かりやすいオチもなくて、曖昧で、なにが言いたいのかよく分からない作品でも
僕を含めてあれだけファンがいて、新作だせばバカ売れして、同じくらい批判もあって、一種のフィーバーが起こる。
僕はそれをみていて、なんだかこの世もまだまだ捨てたものじゃないなあ。と思うのです。なにか上から目線気味ですが。
だってそうゆう曖昧なものでも、皆なにかを感じたいと欲してるのだ。形じゃないものにお金を払い感じたいと思ってる。

別に村上春樹である必要はなーんにもないんだけど、それはすごく素晴らしい事だと思ってて。
見えなくて、形じゃないものに対する価値が一般的にちゃんとある事が素晴らしいと思うのです。
なんだみんなちゃんとロマンチストなんじゃん。と少し安心するのだ。逆にこうゆう時代だから欲するのかしら?
なんにしても良いこと。読書は人間の基盤になることだし、読書量が減っている僕が言えることではないけど。

なんか言いたいことうまく言えなくてモヤモヤする。
でもこれはもしかした文化につながる大事な事かもしれない。
小説だけに限らず、映画、音楽、写真、はたまたデザインや社会や人生までも!
ああ文才が欲しい。もうちっと考えてみようと思う。今日は一日雨みたいだし。

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The End_814 護国寺 / Pentax645

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インディアンの住居跡
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「井上三太 / TOKYO TRIBE 2」

最後まで読んでなかったのと、映画化された後だとミーハー感が出るから先に読み返してみた。
園子温が監督なのね。みてみたいけどグロさありそうで今からこわい。
マンガは全巻読破で1800円で売ってた。読んだ後BOOK OFFで売ったら600円になった。
自宅でゆっくり読めるし漫喫より絶対いい気がする。漫喫って不潔でなんか嫌だ。ビニルレザーもなんか嫌だ。

井上三太の漫画は僕が中学生の時に「知る人ぞ知る」的な感じだった。
ぶんぶくちゃがま大魔王とか、モンモンとか、隣人13号とか。その頃はまだB級だったはずだ。
TOKYO TRIBE的なB-BOY感はまだなくて、サイコな物語が多く、ヤンキーとヤクザとエロい女がよく出てきてた。
僕はその世界観を好んで読んでいた。どんな中学生なんだ。

その後「TOKYO TRIBE」を読んでHIPHOP感に憧れを抱いた。まだターンテーブルすら持っていない中学生の頃だ。
渋谷には怖い奴がうようよしてるんだ、という先入観を植え付けられたのもこの頃の話だ。電車で30分なのに。
高校生になり無事ターンテーブルを手に入れ、バイトとレコードを買い漁る日々がやってきた。
そんな時に「Boon」という雑誌で「TOKYO TRIBE2」の連載が始まった。僕も読んでいたけどなにかギャップがあった。

その頃の社会は「ヤンキー」から「チーマー」や「カラーギャング」的な輩でいっぱいだった。
「TOKYO TRIBE2」もHIPHOP的な雰囲気はあれどギャングの抗争が主な話になった。「1」も抗争がメインだけど、、、
なにか違ったのだ。なにかすごく苦手で、読むのを途中でやめちゃった。僕はそうゆう暴力めいたものが苦手みたいだ。
HIPHOPも相変わらず好きだけど、ハードコアなものより、ピースでメロウな方が好きだもんな。

でも映画の事もあるし、完結した作品を一気読みしたい!というテンションがあがり今回読んでみた。
感想は、可もなく不可もなく!でした。前半は懐かしいのもあってそれなりに面白い。ビッグブッバとかなんかすごい。
でも後半、東京だけでなく横浜や町田(東京か)とか地方のトライブも入り交じっての戦争になる。
となると海(主人公)とメラ(主人公の親友)の友情や確執の話が薄らいでしまい、ただのアクションマンガになった。

しかも井上三太の特徴であるキャラクターめいた独特のタッチが変化していって
躍動感出したいからこそのシャッシャ感(伝わりづらいよな、、)な絵になってくる。
一冊読むのにてんで時間がかからなくなるのだ。こんな体験どこかで、、。幽々白書だ。
仕事面倒くさくなったときの富樫だ。ってなると斜め読みになってすぐ終わっちゃった。

ラストも悪くはないんだけど、なんかこじつけて無理矢理感動のラストにもって行ってる感じがすごくあった。
読んで損したとまでは言わない。今新連載してるのも興味あるし。だけど僕は初期の井上三太が好きだな。
世の中の悪い物、汚い物、どす黒い気持ち、そしてHIPHOPがシンプルに描かれてるのが好きだ。
単行本で全部とってあるはずだからもう一回よんでみようと思う。そして映画も公開されたら勇気だしてみてみよう。

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The End_813 城南島 / Nikon D600

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さびしんぼう、美味しんぼう、おれフジ暴
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「さびしんぼう」

そんで、尾道三部作の最後の作品。個人的にはこの作品が一番好きだった。淡い。

寺の一人息子、井上ヒロキはカメラ好きの高校生。勉強しろ、ピアノの練習をしろと、毎日ヒステリックにうるさい母親と寡黙な父親との三人暮らし。ヒロキは放課後に近所の女子校でショパンの「別れの曲」を弾いている女の子の事が好きだった。彼は望遠レンズで彼女を見つめ、そのさびしげな横顔から彼女の事を「さびしんぼう」と呼んでいた。ある日、寺の本堂の大掃除中に見つけた、母親の若い頃の写真をばらまいてしまう。その日からヒロキの前にはピエロのような格好をした女の子が現れるようになる。彼女は自分の事を「さびしんぼう」と名乗った。

すごく切ない話でした。物語はコミカルに面白おかしく進むけど、すごく切ない話。
初めて恋心を抱いた少年。ある偶然と、少しの勇気で距離はすごく近づいたと思った。
浮かれた気持ちを抑えられずにいると、ある日急に彼女は冷たくなる。近くいと思ったら急に遠いあれだ。
そして何もなかった、あなたなんていてもいなくても一緒。という雰囲気になる。僕も経験あるからすごく分かる。

ヒロキがその女の子と初めて話すきっかけがあるんだけど。その時彼はこう言うのだ。
「実は僕、学校の教室でピアノを弾くあなたをずっとみていたんです。僕カメラやるんです。
レンズで学校をみているうちにあなたと出会ったんです。僕いつもあなたのピアノに合わせて歌っていたんです」
僕がそんなことを発言したらたら完全に逮捕だ。

尾道三部作をみて(転校生ー小林聡美はみてないけど)富田康子が一番だった。
「清楚」って言葉がもうぴったんこで、触ったら壊れてしまいそうな雰囲気。
あんな子がセーラー服で坂道を降りてきたら、誰でも恋をしてしまうわ!
そして自転車のチェーンが外れてしまって困ってたら、誰でも家まで自転車運んであげちゃうわ!

尾道は行ったことがないけど、とても坂が多い街なのね。
僕の親父は下関出身で、まだ僕が小さくてばあちゃんが生きてる頃は夏休みに下関に行ってた。
あの街も坂が多くて(もう20年前の記憶だけど)いまでも坂が多い所に行くと郷愁感にかられる。
少し前に「今年の夏は西へ一人旅」と言ってましたが結局実現できず。尾道、下関。時期をみて行ってみたいな。

以下引用ー
だがいつのまにかそんなことは忘れて、僕は歳を重ねてしまった。
それでよかったのだろう。そうでなかったら僕は永久に大人になれなかっただろうから。

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The End_812 洗足池 / Pentax645

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6フィートのマリーさん
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「時をかける少女」

続いて尾道三部作の二作目。これはちゃんとオリジナルをみました。
説明不要なほど有名な筒井康隆原作の物語ですが、みたことなかった。
そして僕は原田知世のファンだ。その彼女の映画初主演作なのにみたことがなかった。
小説はもちろん、リメイク版やアニメ版も全部みてるのに、なんでだろ。

土曜日の放課後、理科室の掃除当番だった和子は準備室で不審な物音を聞く。中に入ってみるが人の気配はなく、床に落ちたフラスコから白い煙があがっていた。そのラベンダーのような香りを嗅いだ瞬間意識を失ってしまう。保健室で目覚めた和子は貧血と診断され帰宅する事になるが、その日から和子の廻りでは既視感にもにたビジョンが浮かんでくるようになる。幼なじみの吾朗ちゃんと深町君との三人で繰り広げる青春SF物語。

もう一度言うけど僕は原田知世のファンだ。大好きだ。
でもこの原田知世はまったく好きじゃなかった。嫌悪感すら覚えた。
外見や表情や役柄が問題ではないとおもう。おそらく声だ、しゃべり方だ。
時代なのかしら、あのニャンニャン声で棒読み。すごく苦手です、でも原田知世ファンは変わりません。

尾見としのりにやっと会えた感でいっぱいです。和子の幼なじみで、醬油屋の息子という役。
高校生なのにもうどこか人生に諦めている雰囲気や、逆に覚悟めいたものもみえる感じがすごくいい。
30年後にベストの似合うタクシー運転手役をやるなんてこの時には考えてもいないんだろうな。
とほくそ笑みながらみてました。次にかくけど「さびしんぼう」も名演でした。

映画はというと、ぶっちゃけ物語の内容は全部知ってるので新鮮味はもちろん無い。
83年という時代を考えると先進的だったのかもしれないけど、SFめいた合成表現がすげえチープ。
ファミコンが発売された年だもんな。これでもすごいんだろうと思し、チープさに好感ももてる。
そう思うとこの30年で合成というか、CG、撮影技術って宇宙的な躍進をしてるんだな。

この物語は「好きになってしまったからこその別れ」というものに尽きる。
そして記憶は消されなにもなかったかのようにお互い生きていく。という切なさ。
でももしかしたら深層心理に記憶が残っていて、もしかしたらもしかするんじゃないか。とか
想いは時間をこえるのか。とか。感傷的な僕にはすごく向いている話だ。アニメ版をもう一度みたい。

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The End_811 立川 / pent
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羽をかわかす海鳥について
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「転校生-さよならあなた」

大林宣彦監督の尾道三部作をみたことなかったので、一気に見る事に。
と思ったけど、いきなりオリジナル作品がなくて、2007年のリメイク版だったけどみてみた。
でもオリジナルは主人公を尾美としのりが演じてると後で知り、すこし後悔してしまった。
あのベストが似合うタクシー運転手がみたかったけど、まあしゃあない。

中学生の斉藤一夫は、両親の離婚をきっかけに母親と幼少の頃に過ごした信州に戻ってきた。新しい生活に慣れようとする中、幼なじみの一美と再会する事になる。幼い頃の結婚の約束を覚えていた一美は一夫につきまとうようになるが一夫はいまいち素直になれない。だが、幼い頃に戻るかのように二人は少しずつ打ち解けていった。ある日二人の思い出の場所である「さびしらの水場」に行くと誤って二人とも池に落ちてしまう。慌ててはい上がりお互いの安全を確認するが、お互いが違和感を感じていた。

そう尾道三部作のリメイクなのに尾道じゃなくて信州なのだ。
なんかのっけからセレクトに失敗している感がいっぱいあるけど、まあいいのだ。
2007年公開の映画だから古さはあんまり感じられなかった、けどそんなに現代っぽくもなく良かった。
90年代の日本映画をみているような感じ。ロケ地が信州だったからかな。。

前半はやんややんやとコメディタッチで話は進むんだけど、ある事をきっかけに急転する。
いわゆる「命」という重いテーマにごろっと変わるのだ。中学生と命。もう重そうだ。
その重いテーマに一夫の元彼女や、一美の現彼とかもいろいろ絡んでくるんだけど、それが少し不親切。
当人同士じゃない廻りの人たちの心象の表現がゼロに近く、なんか意味分からんかった。

ラストは、、それなりに心に響く所もあったけど、なんか釈然としなかったかな。
旅芸人の一行(実は宍戸錠!)とか謎のコマンダーとかの演出は全然いらないと思います。
なんかレビュー見てたらリメイク版は後半が全然ちがうらしい。という事はラストも違うのかな。。
やっぱりオリジナルから見ればよかったな。でもなかったんだからしょうがない。

蓮佛美沙子というかわった名字の女優さん。初めてみたけどきれいな子だった。
すっげー薄い顔だったけど演技も含め好印象でした。決してロリコンではありません。

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The End_810 六本木 / pentax 645

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